政治家として
–政治家の1日のスケジュールや、多忙な中で知識をどうインプットされているか教えてもらえますでしょうか?
国会が開くと基本的に火〜金は委員会等の出席があり、その準備に追われます。衆議院と参議院で違いはありますが、国民民主党の玉木代表からは「政策・政局・選挙の3つを抑えてこそ強い政治家だ。一人でできないことは仲間と役割分担してやるべし」と言われています。朝は6時半から駅で辻立ちする議員などもおり、8時からは党の勉強会、日中は会議や意見交換、夜は会食やレセプションをハシゴすることもあります。土日は地域のイベント参加や挨拶回りで、正直休みはありません。
インプットについては、自分の関心が高い分野とそれ以外を決めてメリハリをつけています。税負担や社会保障といった自分の中の中心テーマはしっかり深掘りする一方、それ以外の分野は党の勉強会やその前後の数十分で必死にキャッチアップしそれ以外は深く追わないようにしています。限られた時間の中で自分の政治家としての特色を出していく工夫をしています。
-国会議員は多岐にわたる政策課題に向き合う必要があります。奥村さんは「特定分野のスペシャリスト」と、俯瞰して方向性を示す「ジェネラリスト」、そのバランスをどう取られていますか?
これは非常に難しい問題で、私自身もまだ答えを探している最中です。議員の中には、例えば「海のスペシャリスト」のように強いブランディングを持っている方もいらっしゃいます。私自身のスタンスは、どちらかと言えばジェネラリスト寄りです。日々のニュースで取り上げられるトピックは、いつ何を聞かれてもいいように網羅的に押さえるようにしていますし、所属する委員会のテーマ(現在は総務省関連の勉強会などに参加)については、実務を通じて自然と専門性が深まっていきます。ただ、軸足がブレないよう「税負担・社会保障制度の改革」というテーマだけは、変わらず自分の中の中心に据えています。
–有権者や世論との向き合い方で意識していることは何でしょうか?
透明性を重視しています。政治には様々なトピックがあるので、党と自分の意見が一致しないこともあるのですが、支援者には今起きていることを隠さずタイムリーに報告するようにしています。現役世代向けの政策を重視すると高齢者の方に負担をお願いする場合もありますが、そこも包み隠さず伝え、ゆくゆくは社会全体としてメリットがあることを丁寧に説明します。
また、政治の世界にいるとエコーチェンバーに陥る危機感があります。SNSでも耳に優しい意見ばかりが届きがちです。だからこそ、政治からは遠い昔の友人らと会い、世間の認知とのギャップに気付くように意識しています。
-実際に政治の世界に入ってみて、当選前に想像していたこととの「ギャップ」はありましたか?
とにかく関係者が非常に多いこと、そして事前のインプット(根回し)が極めて重要だという点です。ビジネスの世界以上に、事前の相談がないことで意思疎通が叶わなくなることがリスクになります。「今日こういう発言をします」と一言言っておくだけで物事が円滑に進む。こうした人間関係の機微や調整に割くリソースの多さは、想像以上でした。
–「若者の声が届きにくい」とされるシルバー民主主義については、政治の内側から見てどう感じていますか?
人口ピラミッドの影響は確かに無視できません。しかし、数字上は「若者が皆選挙に行けば、政策を覆せる」のも事実です。最近ようやく「シルバー民主主義的な政策だけでは国が持たない」という認識が政治の中枢にも広まり、現役世代向けの政治が行われ始めたという感覚があります。
例えば社会保険料は、税金と違って上がっても気付きにくい側面がありますが、今ようやくそこにメスを入れようという議論が本格的に動き始めています。現役世代が「自分たちの生活にどう影響があるか」をリアルに考えるフェーズに来ていると思います。
–多忙な30代の有権者が、まず政治参加の第一歩として始めるべきことは何でしょうか?
まずは投票に行ってほしいと思います。それだけで政治に対して十分な意思表示になります。あとは、ニュースを見た際に「自分の置かれている状況(例えば子育て政策、働く業界など)」に引き寄せて考えること。それだけで、政治との距離感はぐっと縮まるはずです。榛葉幹事長がよくおっしゃるように、政治に無関心でいられても、無関係ではいられませんから。
メッセージ
–最後に、現役・未来のMBA生に向けてメッセージをお願いします。
ぜひパッションで動いてほしいと思います。キャリア戦略などを考えすぎず、やりたいことで勝負すれば、後から人や結果は付いてきます。これだけ変化の激しい時代、バックキャストで今やるべきことを考えるのは難しくなっています。 優秀な方々には、打算ではなく自分のやりたいことに忠実であってほしい。そして願わくは、その挑戦の場として日本を選んでほしいと思っています。
私自身は、現役世代の負担を軽くすることを当面の目標としています。そして、政治家として地方の衰退を目の当たりにする中で、47都道府県という形が正解なのかも含め、国土をいかに維持し、豊かな日本にしていくかを考えていきたいです。
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