プロダクトの現在地

ープロダクト開発の進捗はどうでしょうか?

検知システム、フライトシステム、自律制御スタック、シミュレーション上での追跡・撃墜などの主要な要素はそれぞれ単体では機能しています。ただし、これらを1台のドローン上で統合してエンドツーエンドで動かすところにまだ至っていない。ディープテックではこの統合作業がいつも一番大変なんです。ロードマップ通りに進めば、2026年中には出荷できると見ています。

ーハードウェア企業でありながら、ビジネスモデルはソフトウェアに近いとも聞きます。

構造的にとても恵まれていると思っています。「庭に蚊がいる状態」と「蚊がいない状態」の差は、特に広い庭を持つ暑い地域の人にとって、数千ドル分の生活の質に相当する。一方でドローン本体は安価なトイドローンがベースなので、製造コストは低い。価値の源泉は、検知、制御、自律性を担うソフトウェアにあるので、ハードウェア企業でありながらソフトウェア的な利益率が狙えると考えています。現在の予約注文価格は約1,100ドルで、今後は少し引き上げていく予定です。

ー最初のターゲット顧客と、その先の展開は?

まずは南欧やアメリカ南部など、蚊に実際に悩まされている地域の個人富裕層をターゲットにしています。やや高価でも買ってもらえるアーリーアダプターに使ってもらいながら規模の経済を確立し、その後は1台100ドル台まで価格を下げてエリア全体をカバーできるモデルにシフトしたい。そうなれば途上国を含む国家規模での導入も現実的になります。ただ、そこへ至るにはまず高価格帯のプロダクトをきちんと作ることが先。そのステップを踏まなければ次には進めないと思っています。

ー競合はどう見ていますか?

蚊を殺すドローンを作っている会社は他にありません。今のところ実質的な競合は、テキサスなどで農地や敷地に殺虫剤を散布している地場の業者です。

ー小型ドローンは強風に弱いイメージがありますが、屋外環境への対処はどうしていますか?

実は蚊自身が風を嫌います。強風や大雨の日は蚊が飛ばない。つまり私たちのドローンが活躍すべき気象条件は、ドローンが飛びやすい条件とほぼ一致しています。さらに、強化学習を使って風が吹くシミュレーション環境でエージェントを訓練しています。ドローンに十分な推力とセンシング能力があれば、エージェントは自力で最適な挙動を学習します。

ー5〜10年後のビジョンを聞かせてください。

5年後には製品を世界中に届け、蚊の個体数に目に見える変化をもたらしたい。10年後にはマラリアをはじめとした蚊媒介感染症に対して、測定可能なインパクトを残していたいです。その先には同じ技術を農業に応用して、化学農薬の代替になることも視野に入れています。突き詰めると、「殺虫剤を置き換えること」と「マラリアの排除」の2つに尽きます。

MBA生と起業を考えるすべての人へ

ー起業を考えているIESEの学生、あるいはアイデアはあるけど動き出せずにいる方へ、メッセージをお願いします。

シンプルです。ビジネスを作ってください。顧客を獲得しようとしてください。人に良く見せようとしないでください。LinkedInは、それがビジネスに直結するとき以外は投稿しなくていい。ビジネススクールにいるんだから、実際に何かを売って、ビジネスを作って、仕事をしてください。

・Tornyolのホームページ
https://tornyol.com/

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