IESEの特徴

IESEでのケーススタディの醍醐味

1年生のAIです。1st termが終わったばかりですが、今回はよくWhy IESE?で挙げられるダイバーシティとケースについて書きたいと思います。これらは別箇に語られることが多いですが、1st term を終えて感じるのは、多様性+ケースを中心としたDemandingなカリキュラムの組み合わせこそが、IESEの特筆すべき特徴だと感じました。

印象的だったのは、Analysis of Business Problemという授業で課されたケースのレポート。この科目は基礎科目とは思えない科目で、会計をはじめとした他の基礎科目の知識も総動員する必要のある手ごわい科目です。教授はコンサルバックグラウンドのキャラの濃いスペイン人。課されたケースは簡単に言えば「ファミリービジネスが不況で業績悪化、少し業績回復の兆しが見え始めたところで、事業売却or現状のままビジネスを継続orビジネスモデルを変えて規模拡大を狙う選択肢がある。あなたならどうする?」というもの。

はじめにケースを読んだ時の印象は「これは事業売却するにしても提示されている価格が安すぎるし、ビジネスモデルを変えて規模拡大するのも、小規模なファミリービジネスでビジネスモデルを変える手腕があるとも思えないしリスキーだな。これは現状のままビジネスを継続して家族と自分を養えれば十分でしょ」というもので、現状維持の方向でレポートに着手しました。

初めてのレポートということもあり、同級生達はみんな真剣。通常のチームMTGに加えて、土日の学校のMTGルームでは、韓国人チーム、インド人チーム、日本人チーム、スペイン人チーム等々が自主的にMTGを開催。各MTG後は学校にいる同級生みんなが入り乱れてのディスカッション。面白いことに日本人をはじめとしたアジア人がとった戦略はほぼ全員「現状維持」、欧米出身の学生の戦略は、アジア人学生にとってはリスキーすぎてあり得ないものに思えた「ビジネモデルを変えて規模拡大。」が大半。Reasoningは人それぞれですが、同じケースを読んで同じ数値を使って、ここまで結論が異なる、出身国によって色が出るというのは新鮮な驚きで、自分と異なる意見をもつ同級生とのディスカッションは学びの連続でした。

提出締切前日の深夜まで学校で同級生とディスカッションして、ロジックを詰めて作成した渾身のレポートでしたが、評価はB(平均)。一方、あり得ないと思ったビジネモデルを変えて規模拡大シナリオでレポート書いた同級生達は、平均して自分より良い評価をもらっていました。最初は納得いきませんでしたが、教授からのコメントを見ると、自信のあったReasoningはスペイン人の教授にとっては全く響いておらず失敗でした。

こうしたレポートや日々ケースに取り組む中で、相手の思考方法や価値観を理解し、その上で、その思考プロセスに当てはめたときに最も理解しやすい表現に変えて、自分の意見を伝えられるということが本当に大事だなぁと実感します。多様性のある環境だからこそ、これらが一層難しく、またその分新たな発見があり面白いです。

また、ケースの予習で予想した展開、重要な論点と授業の展開が全く異なり、数時間にわたる予習が全く無駄に終わることも(かなり)ありますが、世の中、価値観や考え方は人それぞれで、どれか一つが正解ということはなく、優先順位やものを見る角度、そして考える順番すら違うこともあるということケースを通じて経営理論と共に学びます。これらの学びをすぐに生かして新たな試みを行い、失敗しながら新たな学びにつなげる機会がIESEには豊富にあり、多様性+ケースに重きを置くIESEの醍醐味だと思います。

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