夏季インテンシブコースでブラジルはサンパウロにてプロジェクトを実施。Fundação Maria Cecilia Souto Vidigal(FMCSV)というNPO団体のコンサルティング。今回のチームは4名で1年生までのチームとは関係なく他のセクションからのメンバーで構成。 Consulting出身のドイツ人, 通信業界の日本人, 証券出身のブラジル&日本のハーフという仲間。
FMCSVはSão Pauloにある非営利組織で、Vidigal夫妻が13歳の娘を白血病で亡くした後の1965年に設立された。当初は血液学の研究推進を目的としていたが、その後2001年に2代目と3代目により現代社会の問題においてよりニーズの高いものを団体のミッションとして、現在は乳幼児教育の普及や研究に力をいれている。もう1人の日本人メンバーと私はそれぞれ、3歳の息子と2歳の娘がいるため当事者目線での考えが出せると思う。またMBA取得の一つの目的として将来的に世の中の役に立つことがしたいという思いもあるのでその第一歩としては良いプロジェクトである。
FMCSVの活動は主に3つのエリアに跨っている。一つは行政と民間とNPOを円滑に繋ぎ乳幼児教育の推進および増資を促進するためのコンファレンス等を実施。もう一つは乳幼児育成の研究サポート及びノウハウの管理。そして各種プログラムの実施。現在はGrand Challenge Canadaとうカナダの団体とパートナーシップを組みSaving Brainsというプログラムを開始。マネージャーであるEduardo氏は、乳幼児期の貧富の差による教育・育成の差が更なる格差を生み出すという悪循環がブラジルでの一番の問題だと説く。
ブラジルという国については多少知っているつもりであったが実はそれほど知識がないことに気付き、はじめにバックグラウンド調査を行った。日本の約23倍の広大な国土を有し、人種構成も、白人系54%、混血系34%、黒人系10%、黄色人種系2%といわれ、日本とは様相がまったく異なる。文化・習慣、何から何まで多様性を持っている。そしてブラジルは古くから音楽やスポーツ、建築などの分野で世界的に高い評価を受けることが多く、多数の有名なスポーツ選手や音楽家を送り出していることで有名。
しかし、その陽気なイメージとは裏腹に、ブラジルには世界最大といわれる貧困の格差が存在している。国民の60%もの人々の所得が国民平均所得の2分の1にも満たない貧困層に属している。さらにブラジルには1日1ドル以下で生活をしている人々約930万家族、4,400万人いる。政府の全国家計調査では、2,000万人以上の人々が必要な栄養を摂取できない飢餓状態にある。
ブラジルにおいて、貧困削減という課題は常に基本的な課題としてあり続けている。所得格差を改善するための方法の一つとして教育の普及があげられる。教育を通して1人前の市民になることが社会に求められる。市民であるためには、社会生活、コミュニケーションのための能力が必要であり、そのためにはまず読み書きや一般的な知識や判断力を持つことが求められる。教育は常に経済成長において必要不可欠な要素である。
(* 次回に続きます。)