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日本・カタルーニャ交流年における都市課題と国際協力―IESEビジネススクール・日本総領事館・バルセロナ市 対談会

2025年は、「日本・カタルーニャ交流年」として日本総領事館・カタルーニャ州政府が交流・協力事業に取り組んでいく年となっています。

そんな2025年、IESE Business School Japan Business Club学生は、在バルセロナ日本領事館・バルセロナ副市長・国際協力部長との対談会を開催しました。会は副市長による欧州の都市、バルセロナが直面する課題についての基調演説から始まりました。

 まず欧州における都市の位置づけとして、かつては人口の数%しかいなかった都市人口が、現在は数十%まで増加していることが上げられました。バルセロナもその例に漏れず都市人口は増加しており、今や欧州6位の都市圏となっており、住宅供給、交通網、エネルギーなどインフラストラクチャーの課題と向き合っています。

 奇しくもこの前日、スペイン全土で送電網の故障による大停電がありましたが、太陽と風に恵まれた国であるスペインは発電量の約60%を太陽光と風力発電に依存しています。両者の設備は突然の電力ダウンに弱い特性があり、今回の停電で脆弱な一面が露呈した形となります。バルセロナはスマートシティとしてのブランディングを強めていますが、コミュニケーション・公共交通・決済システムが使えなくなった状況を鑑み、アナログな連絡手段もバックアップとして考えないといけない、と副市長は述べました。

 ”スペイン人は陽気なので、こういう時は「電気が戻るまで冷たいビールでも飲んで待っていようや」と言うものだが、昨日はその冷たいビールが無かったんだ”という副市長のジョークに笑いながら、ボールはIESE生へと渡され、「なぜバルセロナ、あるいはIESEを留学先として選んだか?」という問いかけがされました。

気候、生活コスト、食文化等が上がる中で、IESEの学生のバックグラウンドの多様性が話題となりました。IESEの学生は世界55以上の国と地域から留学に来ていますが、バルセロナじたいも、人口の約四分の一が外国人である国際都市です。国際的な都市の土壌形成には海外企業の投資が欠かせない、という意味で、副市長からは三菱電機、NTT等の日本企業の名前が上げられました。

 また、バルセロナの産業という意味では、どういう分野に投資しているのか?金融セクターはどうしてもマドリードや他国に水をあけられているのではないか?というIESE生からの指摘に対しては、副市長はバルセロナの注力分野は製薬・IT等のテクノロジーであり、スーパーコンピューター「マレ・ノストルム」(古代ローマにおける地中海の呼び名)や、通信業界最大のイベント・「モバイルワールドコングレス」(MWC)への言及がありました。

四方総領事とバルセロナ市国際経済部長から会の締めくくりをいただき、IESE生は日本の将来のビジネスリーダーとしてどんな貢献ができるだろうか?という課題意識を胸に、盛会のうちに終了しました。

イベント主催・文責:Co25 尾島 泰介(https://www.linkedin.com/in/taisukeojima/)

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