IESEの特徴

IESE MBAプログラムの特色

こんにちは、2年生のM.Fです。

現在エクスチェンジプログラムを通じてIESEからノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院に交換留学しています。私からは欧・米のBスクールを経験することで見えてきた、IESEならではのユニークな特徴についてご紹介したいと思います。

ところで、みなさんは、MBAに対して何を期待されていますか?一般的には、最先端の経営知識の習得、国際経験、転職機会等々があげられるかと思います。これらについては、所謂グローバルのトップスクールに留学できればほぼ間違いなく得られると思います。従いまして、これらトップMBAのメリット一般論については皆さんのご想像の通りなので割愛させて頂き、私からは他校には無いIESEのMBAプログラムの特色として、以下の4点をご紹介したいと思います。

① 真のリーダーを育てるための、よく練られたコアプログラム

IESEは“Developing Leaders You Can Trust”というブランドステートメントの通り、知識面だけでなく優れたリーダーを作るための人格形成教育を行うために、リーダーシップ教育に力を入れたコアプログラム(1年生の必修科目)が作られています。

具体的には、多様性に富んだメンバーでの毎日のグループワーク、様々なチームビルディングイベント、意図的にオーバーワークさせることでテンションを高める仕組み、ハードワークの中で実ビジネスに近い緊張感を作り上げることで熟成する人間関係、ビジネス倫理系授業の履修機会、学生同士のフィードバック機会の多さ等、最初の1年間から得られる経験は得難いものがあります。

アメリカをはじめ他のBスクールのコアプログラムでは、名目上就職活動を優先していることもあり、ここまでの緊張感や忙しさ、結びつきは無いようです(IESEに近いコンセプトでプログラムを設計している学校は、知る限りスイスのIMDのみです)。緊張感がないとグループワークは仲良しクラブになりがちなので、効率的に分業することで終わってしまい、正直得られるものが少なくなるケースが多いです。日本での大学生活を思い出して頂ければ何となく想像できるかと思いますが、楽な環境で得られるものとビジネスに近い緊張感の中で得られるものでは結果的に大きな差が生じると思います。

② 価値観のダイバーシティ

国籍もそうですが、IESEの特徴の一つに前職バックグラウンドの多様性があると思います。学校の方針で意図的に、ジェネラルマネジメント25%前後、コンサルティング20%前後、ファイナス15%前後、エンジニア等々としているため、結果的にキャリアプランに対する価値観が多様です。

所謂MBAのトップスクールを見ると、学校によってはコンサル・金融バックグランドが2/3を占めていて、彼らの考え方やキャリアプランが幅を利かしているようなことも多々あります。結果的に、戦略ファームの内定を貰った人がえらいというような暗黙の了解があり、授業でもコンサルの人が意見すると皆聞くというような雰囲気の学校もあります。このような学校では、ビジネススクールが就職予備校のような位置づけになっており、アカデミック&自由闊達な雰囲気はあまり感じられません。IESEの場合は、価値観が非常に多様であることに加え、起業を志向している学生も沢山います。そういう意味で非常に自由でオープンな雰囲気があると思います。

また、国籍という点では、アメリカのスクールの場合アメリカ人が大半を占めていることから、どうしても彼らの価値観や考え方が常に中心にあり、うまく立ち回るためにはそれを意識した上で発言や行動をしなくてはなりません。IESEでは、最大人数のスペイン人でさえ全体の20%以下なので、マジョリティのいない非常にフラットな環境です。世の中どの世界でもマジョリティはいるので、IESEのフラットな環境は確かにインターナショナルですが、現実的には実は特殊な環境です。でも、ビジネススクールだからこそ、そのような人類みな平等、自由闊達に議論し合える理想郷を味わうべきだと思うのは私だけでしょうか。現実は現実世界で十分であり、アカデミックな世界はあくまでも理想を追求すべきだと思っています。

③ グローバルネットワークを活かした国際教育

IESEでは、4学期にニューヨーク、サンパウロ、5学期には、上海、シンガポール、ナイロビにてエレクティブコースが開催され、生徒はバルセロナでの授業に加えて、それらを選択することが出来ます。また、4学期、5学期は、エクスチェンジプログラムを通じて世界中のトップスクールに交換留学することも出来ます。学生は総じてこれらの機会に対して積極的なので、必然的に世界を経験する、外へと目が向く視座が身に着くと思います。ヨーロッパ人の危機意識も、それをドライブしています。

アメリカのBスクールを批判するわけではありませんが、アメリカのBスクールでは学部との結びつきが強いが故に、やはり「My School is No1」もっと言うと「US No1」的な価値観がどうしてもあり、結果的にエクスチェンジ等で国外へ出る学生も割合としては少ないです。GDPの国別シェア見ても、20年後にはBRICSやその他の途上国のシェアが圧倒的に高まるのは見に見えているにもかかわらず、このような考え方はマイナスだと思います。自分を誇ったりNo1を自負するのではなく、成長し続ける新興国やグローバル化が進む世界を経済だけでなく文化的・歴史的にも理解し、尊敬し合い、彼らを上手に巻き込みながら、リーダーシップを発揮してく力が今後は必要だからです。

このようにグローバルなプログラムを通じて、世界に対する視座や国際性が自然と身に着くのもIESEの特色だと言えます。

④アントレプレナーシップマインド

IESEの特色の一つに、起業家精神が強いことがあげられます。例えば、学内にてベンチャーキャピタルファンド FINAVESを有しており、IESEの在校生・卒業生が起業した場合、3千万円程度の支援を受けることが出来ます。且つ、FINAVESの投資育成事業そのものが黒字となっており、他校と比較し稀有な成功事例の1つとなっています。実際、1年生のコアプログラムの中で、アントレプレナーシップの授業があり(通常他校ではアントレ系の授業はエレクティブです。またこの授業を担っているクリストファー・ゾットはアントレ研究における世界的な第一人者です)、学校そのものとしてアントレに対して力を入れていることがわかります。また、2年生のエレクティブの授業においてGrowthという授業があり、毎回の授業で異なる起業家を招いて、如何にしてスタートアップを成し遂げ企業を成長の軌道に乗せたかついて生の声を聴くことができます。更には、バルセロナ近郊にある世界的に有名なレストラン、エル・ブジ(El Bulli:イギリスの雑誌『レストラン』において5度の世界一のレストランに選ばれており、世界一予約が取れないレストランと呼ばれていた)が立ち上げたエル・ブジ・ファンデーションの運営を任されるなど、アントレプレーシップにおける名声はEU内において広く知れ渡っています。

バルセロナはその温暖な気候もあり、ヨーロッパ人にとってアメリカのWest Coastのような位置づけにあります。学生でも起業家精神旺盛、かつ優秀なヨーロッパ人が沢山集まっており、在学中に起業する同級生も珍しくありません。このようなダイナミックな雰囲気を生で味わえるのはIESEの魅力の一つと言えるでしょう。

さて、他校には無いIESEのMBAプログラムの特色は以上の通りとなりますが、どのように感じられたでしょうか。欧州のトップMBAスクールというと、大体IESE、INSEAD、LBSの3校があげられますが、IESEはその中でも際立った個性・魅力を持っている学校だと思います。これから受験を考えられている皆様のご参考になれば幸いです。

関連記事

Coffee Chat

最近の記事
おすすめ記事
  1. バルセロナで大好きなサッカーを仕事に! ~FCバルセロナアカデミーキャンプコーチ/サッカー留学支援事業 小堺めぐみさん

  2. 若きリーダーに学ぶ!富山で唯一のスプラウト農家を事業承継した中谷さん

  3. Japan Trekを振り返って

  1. 寮/ルームシェア生活の紹介と人生迷子の人に向けたメッセージ

  2. IESEの教授について

  3. My challenge for case competition

TOP