IESEの特徴

Capstone Projectについて

1年生のIです。

今回は1年生の総仕上げのプロジェクトとなる「Capstone」について、紹介したいと思います。

【プロジェクトの概要】

このプロジェクトは1年生の3学期に単位をもらえる必須授業の一つです。学校側で用意された10社を超える企業の抱える実際の課題に対して、チームで問題解決に取り組むコンサルティングプロジェクトです。参加している企業は業種も規模も様々でどの企業も魅力的に感じます。

どの企業の課題に取り組むかは抽選で決まり、_1社に対して4チームが同じ課題に取り組み、最終のプレゼンでどのチームの発表・内容が良いかを競い合うことになります。

チームに関しては、1年間、朝のミーティングや様々な授業の課題で苦楽を共にしてきた9人のメンバーと実施することになります。授業で学んだ知識を使うことだけではなく、お互いの得意・不得意や性格が分かってきたチームメンバーで、どのように良いパフォーマンスを出せるかも醍醐味の一つかと思います。

【スケジュール】

4月初旬 企業からの取組み概要説明

4月下旬 企業とのQ&Aセッション

4月下旬~5月中旬 課題分析、提案内容検討

5/22,23 プレゼン準備(授業の時間を使う)

 5/24 企業への最終プレゼン、表彰式

【取組み内容】

私達のチームは、スペインのカタルーニャ地方に拠点を置く肉製品(生ハム、サラミ、等)を製造するファミリービジネスをしている中小企業の課題に取り組みました。課題の内容は、開発した新商品をレストランなどの新しい販売チャネルに展開するマーケティング戦略を考えるというものでした。

私達のチームでは、他の授業の課題との兼ね合いもあり、9人の中から3人(フランス人男性・弁護士、ペルー人女性・コンサル、自分)でコアチームを作り、その3人のメンバーでスケジュールやタスクの取りまとめをし、チーム皆を巻き込みながら進めていくことにしました。

—企業からのプレゼン—

始めの企業からのプレゼンではCEO補佐(IESE卒業生)とマーケティング担当マネージャーから会社の概要やプロジェクトの目的について、説明を受けました。しかし、企業側にとっても新しい販売チャネルであるため、マーケットに対する情報はほとんどなく、普段のケーススタディのように与えられた情報から分析するのとは違い、一から情報を探すというより実践的なアプローチが必要でした。

—提案内容検討—

まずは仮説を作るために、どういった情報が必要かを考え、チームで手分けして、企業の営業担当者や10数件のレストランに直接話を聞きにいったりしながら、情報を集めていきました。

集めた情報を元にチーム内で議論を行い、提案を考えていったのですが、「そもそもこの新商品では売ることができない」とか、「販売するチャネルを変えたほうがいいのではないか」など、方向性が発散し、なかなかまとまらず苦戦をしました。

そこでコアチームで担当の教授に相談をしつつ、企業が何の問題を解決したいかを把握し直し、現実的で実現可能な提案を進めていくように、メンバーを説得しつつ、プレゼン準備の直前でありながらも、再度レストラン等への聞き込みを行い、提案内容をまとめていきました。

—プレゼン作成・追い込み—

最後は、提案内容をこれまでの授業で学んできた「5C、4P分析」や「Break Even」などマーケティングのフレームワークを使いながら、プレゼン資料にチーム皆で作成をしていきました。チームメンバーの勧めで自分がプレゼンの一部を実施することになり、プレゼン当日の朝まで、メンバーのフィードバックを受けながら、提案の内容がしっかり伝わるように何度も練習をしました。

—プレゼン当日—

当日は皆がスーツなどのフォーマルな格好で学校にいることが新鮮で、一大イベントという感じを受けます。私達チームは、CEO、CEO補佐、マーケティング担当マネージャー、営業担当マネージャーの4名に対して、プレゼンを実施しました。Q&Aではかなりレストランに対する質問を受け、泥臭いながら、実際の店舗に回って得た情報がとても活き、提案の内容の強い裏付けになりました。

プレゼン後は、朝一番のプレゼンで表彰式まで時間もあったので、メンバーの買ってきたシャンパンを開けて、メンバー皆で結果を聞く前に勝手に学校の中庭でお祝いをしてしまいました(笑)。終わった開放感と皆が納得できる提案をすることができたという満足感で、とても楽しくバルセロナの青空と陽気の下、充実したひと時を過ごすことができました。

—表彰式—

表彰式では、1年生全員と企業の方、教授が集合し、その前で各企業毎に最も良かった提案をしたチームを発表していきます。さすがに発表を受ける前となると緊張し、隣のチームメンバーと大丈夫かなぁと言いながらドキドキしていましたが、見事に私達のチームは勝つことができました!発表を聞いたと同時に立ち上がり、メンバーと抱き合って喜びを分かち合った瞬間は、正直ちょっと感動してしまいました。講評としては、しっかりとしたマーケティングリサーチと現実的なアクションプランの提案が評価されました。 壇上でメダルをもらい、企業の方含め記念撮影をして、終了しました。

終了後は、企業の方含め懇親会を実施するので、よりカジュアルにプロジェクトへの感想や提案内容の過程などを企業の方と話すことができました。上手くすると夏のインターンや卒業後の就職へのネットワーク作りにも役立つと思います。

【全体を通して】

一番良かった点は、仕事に近い環境で多様性のあるチームメンバーと、比較的深くプロジェクトに取り組めて、1年間の自分の成長を感じることができた点です。 

入学当初は正直、英語は喋れない聞こえないで、朝のミーティング・授業で何とか一言は喋ろうと四苦八苦している状況でした。 今回のCapStoneでは、授業で学んだ知識を元に得意分野でアウトプットを出せただけでなく、チームのメンバーに恵まれたこともありつつも、少しチームのマネージメントにも貢献できたと感じられました。

 具体的には、私達のチームでは議論が発散し、結論が出ないことがこれまでの課題等でも多々あったので、議論の内容よりプロセスを意識して、ミーティングの議題やゴールを事前に設定したり、議論の叩きのドラフトを作ったり、議事録を必ず取るように工夫をしました。また、特にコアメンバー間では、意識合わせを入念にし、なかなか一人では変えることが難しいチーム全体の方向性を、仲間を作りながら、運営していったのが良い経験でした。幸い、コアメンバーとは朝のミーティング等(真面目に予習をこなしていくことで)を通して、信頼を築けていたので、自分なりの意見を伝えつつ、スムーズに話し合いをしていくことができました。また担当の教授にアドバイスをもらうなど、チームをまとめる上で、外部のリソースを上手に使うことも意識しました。最後のプレゼンでは、Q&Aにチームメンバー皆が参加していて、チーム全員が納得して提案を作れたことが勝因の一つかと思っています。

残念だった点は、無理をして風邪を引きながらプレゼン準備に参加したら、見事に回りのチームメンバーほとんどに風邪をうつしたことです。。。(マスクを着けていったら、物凄い感染症にでもなったかと勘違いされました。バルセロナではマスクをするという習慣が全くありません。)

人それぞれ自分なりのIESEでの始めの1年間の学びとチームの成長を感じ取れるプロジェクトかと思います。

ぜひ皆さんもIESEに来て、体験してみてください!

関連記事

Coffee Chat

最近の記事
おすすめ記事
  1. Surpass Boundaries with Humility and a Spirit of Respect: An Interview with Mr. Kadokura, CEO of APCE (AGC Pharma Chemical Europe)

  2. 謙虚な心とリスペクトの精神で与えられた「枠」を超えよ―APCE(AGC Pharma Chemical Europe) CEO 門倉さんインタビュー

  3. IESE Japan Search Fund Forum – 投資家パネルディスカッション 「サーチファンド起業の意義」

  1. 女性MBA留学座談会

  2. MBAにおけるcontribution

  3. 若きリーダーに学ぶ!富山で唯一のスプラウト農家を事業承継した中谷さん

TOP