交換留学

IESE ←→ Kellogg交換留学記(後編) Kellogg→IESE編 – バルセロナの陽気に誘われて…

IESEには世界各国の提携校から交換留学生が秋ターム(9月~12月)、冬ターム(1月~4月)それぞれ数十人やってきます。今回の企画では、秋タームにIESE→Kelloggへの交換留学生、冬タームに逆にKellogg→IESEへの交換留学生がいたので、それぞれの視点で両校の違いと得られた気付きについて振り返ってもらいました。


みなさん、こんにちは。Kellogg School of Management の Class of 2025でIESE へと交換留学 (2025年1-3月)した者です。今回は、IESEでの授業や実際の学生生活などを、できるだけカジュアルな視点でお伝えできればと思います

バックグラウンド

MBA に来る前は、コンサルティングファームと国際機関で働いていました。ロンドンとインドネシア/シンガポールで1年ずつ働いたことがあるのですが、アメリカはプロジェクトベースにとどまっており、他とは異なる生態系という印象のあったアメリカのカルチャー・ビジネス文化への理解を深めたくMBAの取得を考えました。また、日本育ちの男性としてマジョリティとしての経験が多く、マイノリティとしての経験が人生をより豊かにしてくれるのではないかという思いもありました

Kellogg について

Kellogg は、いわゆるM7の一つで、かつてフィリップ・コトラーが教えていたこともあり、マーケティングで知られています。近年は Finance や Entrepreneurship にも力を入れていて、実際に私もヘッジファンドへのキャリアチェンジを考えています。キャンパスがあるのはシカゴから40分程度の Evanston という街で、全米でもトップクラスに治安が良いと言われています。Evanston自体はNorthwesternのカレッジタウンなのでコミュニティの一体感が強く、Collaborativeを重んじるカルチャーが大きな特徴です。

なぜ IESE か?

以前ニューヨークを訪れた際に IESE のキャンパスを訪問したことがあり、その時に感じた雰囲気がとてもよかったのが一因です。また、前職で IESE 出身の方にお世話になったこともあって、なんとなく「いつかここに来られたらいいな」という思いがありました。さらに、バルセロナという街が大好きだったのと、欧米のスクールを比較してみたい気持ちがあったので、交換留学先として IESE を選びました。日本人コミュニティが強いという噂も聞いていて、どんな取り組みをしているんだろうと興味があったのもあります

IESE でとった授業

Post MBAで株のアナリストをやる前に、株以外のアセットクラスについて触れておきたいという思いがあったので、Real Estate Investment、VCIC (Venture Capital Investing Competition)、Crypto Economicsなどの授業を取りました。また、以前旅行者として訪れたアフリカに対してビジネスの面で自分の見立てを持ちたいという思いがあり、アフリカモジュール (一週間パートナー校のあるナイロビで学ぶ授業)もとりました。実はSearch Fundの授業も気になっていたんですが、交換留学期間が限られており受講できず残念でした。もし可能であれば絶対に取ってみたかったです。

授業スタイルの違い

IESE はよく知られている通り、ケーススタディがほぼすべての授業であったのが印象的でした。特にKellogg では数字やデータ分析に特化した授業ではケーススタディをあまり使わないので (全20回の授業で3-4個程度なことも) 毎回ケースをしっかり使うIESE のやり方は新鮮でした。VC の授業では 「実際にInvestment Committeeをやってみましょう」ということで、実際にキャピタリストを呼んでシミュレーションをする、みたいな授業もあり、総じて実践的な印象を受けました。扱うケースについても、US Schoolでは基本的に米国内もしくは米国で大きな影響を与えている海外のケースを扱いますが、IESEではスペインや欧州に限らず、米国やアフリカの事例なども扱っていたので、国際色豊かな内容を楽しめました

学生のプロファイルの違い

よく言われることですが、 IESE のほうがバラエティに富んでいる印象を受けました。アメリカのスクールはどこも似たようなものだと思いますが、Kelloggでは国内出身者が約 60%を占めます。留学生 40%も米大学部卒等でアメリカ経験がある人が比較的多く、国籍的にはアジア・南米に偏りがちな部分もあるように感じています(例えば欧州出身者は1学年10名程度)。一方で IESE はスペイン国内の学生が 15%程度にとどまり、欧州はもちろん、アフリカや中東から来ているクラスメイトも多いので、より国際色豊かなコミュニティだなと思いました。これは私が参加したマルチカルチという各国の名物料理を出すイベント/パーティにも現れていて、Kelloggでの似たようなイベントのTaste of Kelloggではアフリカや欧州が大陸でまとまるケースもある中、IESEではこれらの地域でもいろいろな国が個別のブースを出していました。

とはいえ、IESE でもスペイン語が母語の学生は全体の 4 -5割ほど在籍しており、また当たり前ですがそもそもスペインに学校があるので、キャンパス内では想像以上にスペイン語が飛び交っていました。また、国籍によるステレオタイプを過度にタブー視するよりも、ある種ユーモアとして受けとめる寛容さがあるのも印象的でした。

バルセロナとシカゴ生活の比較

正直、バルセロナ生活のほうが圧倒的に上、というのが素直な感想です笑。これはシカゴに不満があるわけではなく、単純にバルセロナが良すぎます。ご飯は安くておいしいし、LCC を使えばヨーロッパ各地へ激安で旅行できるし、気候も最高。海も山も近いし、街自体が美しい。勉強だけでなく、ライフスタイルを満喫したい人には本当におすすめだなと思いました。

IESE のメリット

やはり欧州トップ校なので、ヨーロッパ中の企業へのアクセスがすごかったです。私が参加した VCICの授業では、全部で20以上のキャピタリストが欧州中から集まって我々のピッチへのフィードバック、審査などしてくれましたし(中にはルクセンブルクのVCも!)、5つのスタートアップが本物のVCへのピッチ資料を使ってプレゼンしてくれました(こちらもハンガリーのスタートアップがきていたりも!) 。また、日本コミュニティも各学年日本語話者が20人弱いるため強く、Alumniへのインタビューも積極的やっていたりと素晴らしいコミュニティがあるなと思いました。他のIESEの学生も、ラテンのノリもあってかフレンドリーな人が多く、すぐに打ち解けられる雰囲気があるのも魅力でした

IESEのデメリット

多様性とのトレードオフですが、英語が母語ではない教授やクラスメイトが多いので、単位時間あたりの情報量や学びがどうしても少ないかなという印象がありました。また、欧州はアメリカと比べるとマーケットが小さいところも多いので(例えば欧州のVC投資額は米国の1/4 – 1/3程度)、大きな潮流を捉えるうえではアメリカのほうが有利かなと感じる部分もあります。とはいえ、ニッチを探すという意味ではより面白い事例に出会える可能性も高いかなと思いました

最後に

実は交換留学に行く前は「IESE は忙しくて、勉強に追われる毎日になるんじゃ…」と少しビクビクしていました。が、選択科目のおかげや2 年生ということもあり、実際には比較的時間に余裕があり、とても楽しい時間を過ごせました。これもすべてフレンドリーな IESE の学生や日本コミュニティの皆さんのおかげで、本当に感謝しかありません。皆さんも是非IESEへ!

以上、私が感じた両校の違いをお伝えしました。短い留学生活で感じたことですので、本感想が極めて主観的かつ限定的である点にご留意頂いた上で、少しでもご参考になれば幸いです。

前編はこちら

企画:Co 25 尾島

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