IESE Business School、2年生のKamackです。
1年生の時よりは確実に時間はあるのですが、1年生は勉強する量が多すぎてコップから水があふれている状態でした。2年生になって、自分の中でしっかり理解できるまで勉強できるようになった一方で、しっかり勉強すると自由時間は結局ほぼ勉強で埋まるという状況でした。
今回は2年生の選択授業を紹介したいと思います。2年生のIESEの授業、めちゃくちゃ良いですよ。
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■1年生のスケジュール
ご参考までに、1年生の1日のスケジュールは以下のような感じです。
1年生の時点では、予習が全然間に合わなかったため、上記のように平日1日6時間という感じの予習は途中でやめて、土日に予習を回すという感じでした。
■2年生のスケジュール
2年生からは、選択授業に移行するため、時間的にはかなりフレキシブルになります。休みの日もあれば、1日5コマ入っている日もある、といった状況です。なので、1年生の時のように標準的な1日という紹介が難しいですね。
ご参考までに、9月のカレンダーはこんな感じでした。
最初の1週目はブラジルプロジェクトで、リオデジャネイロのスタートアップでインターンだったため、10:00-17:00のスケジュールでした。
その次の週からは、休みの日もあれば、1日5コマ入っている日もある、けど平均2コマくらいという感じ。1年生の1日3コマから見るとだいぶ減るので、やはり時間はあるはずなのですが、その分課題が多めだったり、私のように起業っぽいことをやったり、クラブ活動を本格化させる人、就職活動をやる人も多いのでやはり忙しいという感じです。
・2年生の授業(前半)
私は、以下のような授業を2年生の1学期(Term 4)で選択しました。ハーフクレジットのコースばかり取ったので、こんなにも多くなってしまいました。
上半分はもうすぐ終わる、もしくは既に終わったコースです。また、下半分はこれから始まるコースです。
■Brazil Projects 個人的な評価 ★★★★★ 星5つ
■Data Science for Business 個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
■Digital Commerce 個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
■Negotiation 個人的な評価 ★★★★★ 星5つ
■Venture Capital: Terms and Deals 個人的な評価 ★★★★★ 星5つ
■Wealth Management 個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
〇Corporate Entrepreneurship 未実施(これから受講)
〇Creative Thinking 未実施(これから受講)
〇Current Topics in Marketing 未実施(これから受講)
〇Internet Enabled Strategies 未実施(これから受講)
〇Social Innovation and Social Entrepreneurship 未実施(これから受講)
今回は既に終わった、もしくは終わりかけている上半分のコースについて書いてみようと思います。
・Brazil Project
個人的な評価 ★★★★★ 星5つ
ブラジルの起業でインターン体験ができるプロジェクトで、私はエネルギー系のスタートアップで1週間働き、その後バルセロナに戻ってコンサル活動の一環として提案資料を作っています。
インターンの様子は下記に記載していますが、とにかくブラジルという国を好きになる事請け合いのコース。また、勝手にものすごい危険と思っていたブラジルに対して、自分の思慮が浅かった事を痛感させられました。
ブラジルのイケているスタートアップで働けた事も非常に大きいですね。自分の中の小さな常識が良い意味で覆った、本当に良い体験でした。
・Data Science for Business
個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
プログラム言語のRを用いて、ビジネスのデータ分析として活用できる手法、例えば回帰分析や決定木分析、ロジスティック回帰を活用した分類の方法などを学びます。
週2回の授業で、毎週課題が出るので、4回の課題提出が必要なコースで、比較的重め。ただ、プログラミング経験の有無で難易度が大幅に変わるコースであり、経験ありの人には比較的簡単で、未経験の人は相当に苦労する事が想定されるコース。
日本の大学、例えば旧帝大工学部でプログラミングやっていた人にとっては、プログラミング自体の難易度は大学2-3年時にやるプログラミング実習レベルを想像してもらえると良いかと思います。
使うデータが、ビジネスの現場で実際に取得できそうなデータであるため、会社で利活用できそうというところがビジネススクールで学ぶことの価値と思います。
教授のMiguel Ángel Canelaが、割と典型的な理系の研究畑という感じの方なので、好き嫌いが分かれるかもしれません。私は日本で大学・大学院とそのようなタイプの教授に囲まれて育ったので、あまり違和感はありませんでしたが、ビジネススクールの教授とは一線画す感じかもしれません。
・Digital Commerce
個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
今回自分が起業したGracia OrganicがE-Commerce関係であり、webマーケティングを学習したいがために選択しました。
内容としては非常に実践的で、自分が知りたかったコンテンツマーケティングやSNSマーケティング、モバイルマーケティング等を学ぶことができたため、個人的には満足。ただし、すでに色々と試していたため、知っている内容も多く、星4つの評価にしています。B2Bでのソーシャルマーケティングなどもあり、会社に戻ってからも使えそうな内容もありました。
教授のMario Capizzaniは、1年生の時はめちゃくちゃ厳しいと有名な先生であると聞いていましたが、2年生では全然そんな感じではないです。
ワークロードは結構重いです。具体的には、最終課題として5人前後のチームでワードで6-7ページのケースorテクニカルノートを書いた上で、パワーポイント5枚、10分の発表があります。私は自分の会社の事例をテクニカルノートにまとめる役を買って出たため、土日を使って15時間くらいかけてテクニカルノートを書いています。
・Negotiation
個人的な評価 ★★★★★ 星5つ
IESE生徒間で毎回ケースに基づいた交渉をするため、自動的にCross-cultural negotiationになるのがまず最初に授業が非常に面白くなるポイントです。国が違うと全く違う交渉が発生するため、最初は文化的な違いに驚きます。例えば、南米やアフリカの人たちの非常にアグレッシブな態度や設定に驚く事があると思います。
日本人だけだと、この手の授業は冷めたものになる事もあるのですが、IESEではまるで本当にその交渉の場にあるかのように全員が取り組んでくれるため、あたかも本当の交渉と勘違いするような非常に胃が痛い交渉を体験する事になります。
また、毎回扱う事例が非常に多くの学びを与えてくれるため、将来交渉に役立つ事間違いないと思います。
さらには、私が参加した時の中の1セッションで、アフリカのLagos Business School (Nigeria)とStrathmore Business School (Kenya)のEMBA生が混ざっての交渉があり、この交渉がまた非常に面白かったです。全くまとまらない平行線から残り5分で強引に交渉をまとめていくという感じの事が起こり、いい体験ができたなと強く感じます。
教授のKandarp Mehtaは非常にうまく交渉後の授業をまとめてくれるため、その振り返りでも学びが多いです。
結局、最終的には以下の学びであり、言葉にして書くと当たり前の事です。
・こちらの情報をどこまで開示するか
・どこまで開示する事が交渉を有利に、もしくは真の課題を解決する事になるか
・交渉のカードで最も強いのは代替手段があるかどうか
が、これを色々な文化圏の人との交渉で体感できるというのが大きいように思います。
・Venture Capital: Terms and Deals
個人的な評価 ★★★★★ 星5つ
このコースもEye openingなコースでした。私は日本で株への投資を10年ほどやっていたので、上場後の株の動き(増資、買収、上場廃止などなど)に関しては良く知っていたと思うんですが、上場前の資金調達としての情報は全然持っていなかったので非常に勉強になりました。
このコース自体は、どちらかというと起業家の資金調達としての各ラウンド(シード、シリーズA、シリーズB以下)のお金の動きと評価方法を学ぶ授業です。
ただし、一度シリコンバレーのエンジェル投資家がゲストスピーカーとして登壇する機会があり、ベンチャーキャピタル(VC)の視点でも学ぶことができます。
また、起業化とVCに分かれた投資の交渉をする機会があり、何となくではありますが、どのように評価し交渉するのかという観点でも学びがあります。Term Sheetを読む機会もあり、希釈化以外の視点でもどのような条件が起業家の資本を毀損するケースがあるか、という事が良く分かってきます。
多分、ファイナンス経験者には物足りないのかもしれないですが、ファイナンスバックグラウンドがない私には少し背伸びしたらギリギリついていける難易度で非常に学びが多く、良いコースでした。
教授のThomas Maximilian Klueterは非常に優秀で生徒の質問に的確に答えてくれます。ワークロード的には、課題が3回とテストがあるので比較的重めですが、起業を目指す人やVC未経験の人には間違いなくおすすめできるコースになっています。
・Wealth Management
個人的な評価 ★★★★☆ 星4つ
個人資産をどのように守り、増やしていくかというのをテーマにしたMBAでは珍しい授業(と勝手に思っています)。
自分は前述の通り日本で株式投資を10年ほどやっていましたが、教授のJan Simonに言わせると私の投資方針はHome Bias(自国の株に縛られた投資)がかかっており良くないという事でしょう。
投資の方針としては、株と債券(国債と社債)に分散して投資する事、株と債券については地域、産業(β)を見つつ分散投資すべし、という基本中の基本を学びます。
なので、アクティブ投資で年率30%を目指せ、というよりは、年率10%をリスクを抑えて目指すような基本的な金融リテラシーを学ぶコースであると理解しました。その観点では、少し物足りなさも感じ、星4つとしています。
Jan Simonはコールドコール連発、また、1分の遅刻も許さない、授業中に携帯を触る事は一切許さない、など非常に厳しい教授ですが、その代わりに授業への情熱が高く、尊敬に値する方です。
まとめ
IESEの2年生の授業、いかがでしたでしょうか。前述の通り、まだ2年生の1学期(Term 4)は半分残っており、さらに2年生の2学期(Term 5)にはもっと面白そうな授業がたくさんあるため、今から非常に悩んでいます。
2年生に交換留学に行く人も多いですが、私はIESEの質の高い授業に満足しており、交換留学は考えませんでした。デモやストライキがひどいときもありますが、バルセロナは基本的に非常に過ごしやすい場所ですしね。
1年生の必修科目は教授を選択する事ができないので、この教授のこの授業を受けたい!というのはある意味で2年生からに限定されますね。IESEを受験される方の参考になれば幸いです。
もし何か質問などあれば、お気軽にご連絡ください。
また、こちらのnoteにも記事を書いているので、ぜひ合わせてご覧ください。
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