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ケニア(ナイロビ)モジュール体験

こんにちは。初めてブログを書くことになりました二年目在校生のTYです。

今回は、1月6日から17日まで、二週間参加してきたケニアでのナイロビモジュールについて紹介したいと思います。特にここでは、モジュールの内容の概略と、個人的に印象に残っているシーンについて書きたいと思います。

ナイロビモジュールは、IESEの授業の中では集中講座のような位置付けで、二週間参加することにより、授業二単位分の認定を受けることができます。同じ時期に、上海でも同様のモジュールが、また、バルセロナでも様々な種類の集中講座が行われています。そのどれもが魅力的だったため、どのプログラムを選択するか迷いましたが、今後の人生でアフリカに行く機会はなかなか無さそうだったので、ナイロビモジュールに参加することに決めました。今回が私にとっての初めてのアフリカ訪問でしたが、充実したプログラムを通して、クラスメイトたちと一緒に楽しみながら多くを学ぶことができ、振り返ってみると、IESEでの最高の経験の中の一つになりました。

モジュールの内容は、大きく一週目と二週目に分かれ、一週目は、IESEがその設立に携わったStrathmore Business School(SBS)での授業や学校内外でのアクティビティが中心となります。二週目には、学生が7-8人程度のチームに分かれ、それぞれのチームが別々の現地クライアント企業に対して、コンサルティングプロジェクトを行います。

一週目:授業&学校内外でのアクティビティ

一週目のプログラムは、以下のような内容となっています。IESEらしく、ほぼ毎日朝8時から夜遅くまで授業やアクティビティが詰まっており、ハードでしたが大変充実したプログラムであると感じました。

・レクチャー(アフリカのビジネス、アフリカのマクロ経済)

・ケース(モバイル決済ビジネス、食品ビジネス、農業ビジネス、マイクロファイナンス、観光ビジネス、ビジネスと文化・倫理)

・ゲストスピーカー(モバイル決済・デジタルマーケティング・プライベートエクイティ分野のプロフェッショナル、起業家の方々)

・アクティビティ(ストリートマーケット見学、お茶ビジネス企業訪問、キベラスラム訪問、花ビジネス企業訪問、SBSの学生との産業分野別ディスカッション、SBSの学生とのネゴシエーション)

・レクリエーション(ナクル湖国立公園サファリ ※週末開催で参加はオプショナル)

一週目を通して最も印象に残っているのは、現地の人々が持っているエネルギーでした。元々、アフリカの経済活動についてはそれほどポジティブな印象を持っていませんでしたし、ケニア行きの飛行機の中で予習のために読んでいた学校の教材からも、アフリカの国々は経済規模があまり大きくないのにも関わらず、(例えばアジアの国々と比較すると)経済成長率はそれほど高くなく、インフラ開発や貧困等の問題も多いということが読み取れました。

しかしながら、実際に現地で一週間過ごし、様々な人たちの話を聞く中で、当初持っていた印象は大きく変わっていきました。アフリカのマクロ経済の授業では、経済データを一通り概観した後に、教授から、「数字には表れないが、アフリカには野心的でイノベーティブな人々が多くおり、経済はダイナミックに動いている」とのコメントが有りました。また、滞在期間中に、ナイロビのスタートアップで仕事をしている日本人の方と話をする機会が有りましたが、その方からも、「ナイロビには社会を良くしていきたいという情熱を持った優秀な起業家が集まっており、多くのスタートアップが活発に活動している」という話を聞きました。

また、アフリカ最大規模とも言われているキベラスラムを訪問した際には、スラム内のトレーニングセンターにある音楽スタジオで、「キベラの音楽を世界に広めたい」というビジョンを持って活動しているミュージシャンの方に出会い、その後訪問したスラム内の小・中学生が通っている学校では、「大学で法律を勉強して、将来は弁護士になりたい」という夢を持って勉強している学生に出会いました。SBSの学生とのディナーイベントでは、隣の席の学生から、「日本の技術で、何かアフリカのマーケットに適用できそうなものは無いのか?」と突然聞かれ、答えに詰まってしまうようなことも有りました。

上記のような経験を通して、アフリカの人々が持っている前向きなエネルギーを実感し、一週目の終わりには、「将来のキャリアのどこかで、アフリカのビジネスに関わるのも面白いかもしれない」と思うまでになりました。このような心境の変化が得られたことが自分にとっては大きな財産と感じましたし、さらに、実際にアフリカでビジネスに関わることになった場合に、SBSの教授・学生たちや、その他今回のモジュールを通して出会った人々とのネットワークが活用できると考えると、今回のモジュールへの参加は、自分自身にとって大変有意義な機会になったと感じています。

二週目:現地企業へのコンサルティングプロジェクト

二週目のコンサルティングプロジェクトは、実質的にナイロビ訪問前から始まります。ナイロビモジュールを含めた5学期の授業は11月頃に確定しますが、モジュールへの参加が確定した直後のタイミングで、学生は8社程度のクライアント企業/プロジェクトテーマの候補の中から、個々人の興味に応じて希望を出します。クライアント/テーマ、そしてそれに対応する学生のチーム(7-8人)が決まったら、11月の時点からクライアントとのコミュニケーションを開始し、事前のリサーチを行い、1月の現地でのキックオフに向けて準備を進めます。現地では、一週間の間に、クライアント企業の社員や業界のエキスパート、顧客、競合等、様々なステークホルダーへのインタビューを中心に活動し、チームとしての提案をまとめ上げ、最終日にクライアントに対して、中間報告の位置付けでプレゼンテーションを行います。その後、プレゼンテーションの際に得られたフィードバックを基に、3月の最終報告に向けて、チームの提案をブラッシュアップしていきます。

コンサルティングプロジェクトの具体例として、私のケースを紹介したいと思います。私はエネルギーに興味が有ったので、石油産業向けエンジニアリング企業の成長戦略を検討するプロジェクトを選びました。クライアントは従業員10人程度の規模で、それに対してドイツ、フランス、アメリカ、スペイン、アフリカ、日本出身の学生から構成される合計8人のチームでコンサルティングを行うことになりました。コンサルティングプロジェクトへの対応は、クライアントにとっては追加の業務負担となるため、上手く協力が得られるかどうか心配も有りましたが、社長がSBSの学生だったこともあり、全面的な協力を得た上でプロジェクトを進めることができました。

チームの中で、私は会計やファイナンスが得意だったので、クライアント企業の財務分析を担当することになりました。プロジェクト期間中は、毎日クライアントのオフィスに通い、カウンターパートのファイナンス担当部長と密にコミュニケーションを取りながら、時にはビジネスの中身を深く理解するために技術担当部長からも話を聞きながら、財務分析を進めていきました。現地で働いている人たちと毎日一緒に働き、時にはプライベートの話をすることもできたため、人々の物事の考え方や仕事の仕方、生活スタイル等、現地の文化について理解を深めることができました。(ちなみに、ファイナンス担当部長と技術担当部長とは、その後も個人的に連絡を取り合うほど仲を深めることができました)

週の終盤には、社内のエンジニアや業界のエキスパート、顧客へのインタビューを行っていたチームメンバーと分析結果を持ち寄り、提案書をまとめました。最終日は、社長と4人の社員の前でプレゼンテーションを行いましたが、私たちの提案に基づき、活発な議論が行われました。

プロジェクトでは、国際的なチームの中で、自分の専門能力を生かして、クライアント企業の課題解決に貢献できたことに対して充実感を感じましたし、自信にもなりました。特に印象に残っているのは、プレゼンテーションが終わった後に社長から、「この提案書は、後でじっくり読み返したいと思う。我々は君たちの提案を非常に真剣に受け止めている」というコメントが有ったことです。社長を含めたクライアント企業の皆さんが、プロジェクトに対して真剣に向き合って下さったからこそ、多くを学べる貴重な機会になったように感じています。

以上、IESEのナイロビモジュールについて紹介させて頂きました。ここに書いたこと以外にも、様々な経験をすることができ、多くの気付きや思い出が生まれた素晴らしい二週間でした。IESEに入学される場合には、是非参加をお勧めしたいと思います。モジュールについて、より詳しく知りたいという方がいらっしゃれば、一緒に参加していた日本人同級生がデイリーベースで書いているこちらの記事も参考になると思います。ぜひ見てみてください。

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