キャリアについて
Q. 外資IT企業でのキャリア(特にマーケティング、事業開発)に興味を持つMBA生は多いのですが、マネジメントとして全体を見られる中で、どのような方が特に成果を残しているように思われますか?
大きく3つあるかなと思っています。
一つ目は、セルフPDCAが回せる人ですね。自分で試して試行錯誤できる人で、不便な環境に過適応してはいけないと思っています。
二つ目に、愚直さです。やると決めたらやるという胆力のある人です。入社当初など頑張れる人はたくさんいますが、1年とかそれ以上の期間でやる、って人は実はなかなかいないので、圧倒的に活躍できると思っています。
三つ目は、社内を動かせることです。営業でも社内の様々な部署を説得して、組織として大きな受注を獲得できる人は強いですよね。どう説得するかは人によりますが、人たらしみたいな能力もありますし、私の場合はデータが好きなのでとにかくデータで説得することを試みています。私自身は留学経験などがないので、英語で話して通用しないとなったら割り切ってファクトとデータで説得を試みます。
Q. 外資系企業では「HQの方針と日本の顧客の間で板挟みになる」、「日本市場での販売拠点という位置づけになり会社全体の戦略への影響力が少ない」という先入観がありがちですが、松塚さんの発信を見るとthink-cell Japanはグローバルでもプレゼンスを発揮しているように見えます。成功の秘訣は何でしょうか?
think-cell Japanのプレゼンスが高くなったのは、グローバルの成長率を大きく超えられた結果です。入社1か月でデータ分析、戦略策定、短期と長期でどういう数値をあげるのか具体的に設定するということをやりました。プロセスの段階でいつでもデータで説明できるように工夫しました。
Q. 留学経験などはないということですが、英語で苦労されたエピソードなどはございますか?
最初に博報堂からGoogleに転職したとき、奇跡的に英語面接がありませんでした。しかし、その後入社研修で豪州に行ったのですが、英語ができなかったため、1週間無言で過ごしました(笑)。あらゆるセッションで無言で、入る会社を間違ったなと思いましたが、帰国後は日本語で何とかなっていました。
ただ、次の会社ではCEOと自分で英語で会話しないといけなくなり、英語のライザップ的なサービスで徹底的に勉強して3か月でパワーアップし、TOEICでは900点を超えるレベルまで到達しました。しかし、今豪州が重要拠点なのですが、そこのミーティングでは豪州ネイティブの英語に未だに苦労しています。
今はテクノロジーの進歩によって、録画・スクリプトの書き出し機能があるので、それらをフル活用しています。移動の時間でそれらの音声・スクリプトを活用しながら、ミーティングの内容理解と英語力のキャッチアップに努めています。
Q. 留学に来て、勤勉さや秩序だった働き方など日本人・日本企業の優れた点について改めて気づくものの、生産性に関しては「なぜこの欧州のゆるい働き方で日本企業より優れた業績が出るのか?」と驚かされます。特に他の国の学生からは「日本のその長時間労働は生産性が低すぎるのではないか?」と指摘をよく受けます。生産性に関する調査もなさっている松塚さんとしては、伝統的な大手日本企業の生産性を高めるにはどんな課題があると思いますか?
日本企業は工場のオペレーションのようなものづくりの生産性は高い一方で、コミュニケーション面での生産性の低さを感じることがあります。
背景としては、まず組織・カルチャーの問題が挙げられます。日本の会社だと、役員に上申する前にその部門内で事前ミーティングの事前ミーティングみたいな、内部のミーティングの準備が大量にあったりしますよね。
しかも、そうしたミーティングを役員の論点を把握する前に実施するため、あらぬ方向に忖度が走ってしまって何度も手戻りが発生しているという光景は、よくあることだと認識しています。
次に、個人のスキルとしてプレゼンテーションやディスカッションに慣れておらず、ロジック・ストーリーテリング、それらを補強する表現力のようなスキルが弱いということがあります。think-cellとしてはそこを補強するツールとして活用してほしいと考えています。
余談ですが、実は自分の会社も持っていて大企業の戦略策定のサポートとかもしたりするのですが、その過程でこのような課題感を肌で感じていました。
Q. 多忙な日本法人の社長をなされながら、自分で事業を起こすというバイタリティーはどういったところから来ているのでしょうか?
仕事が趣味になっていて、楽しめているというのが大前提としてあります。お金を稼ぐためというよりも、think-cellでは結果をどんどん出していくゲームのような感覚で楽しんでいます。。一方で、自分自身の会社はラボに近く、自分の興味関心を満たすために実施しています。事業の一つでフレグランスを開発・販売していて、B to Cマーケットに対する事業開発を経験する良い機会となっています。これからもビジネスマン及び事業家としてのビジネスライフを楽しみながら、日本における生産性向上に貢献できるように精進していきたいです。
インタビュアー:
Class of 2025 尾島、栗木
Class of 2026 上床
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