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プログリットのこれから
―今仰っていたM&Aは、ノンオーガニックの成長を目指してプログリットが手がけきれてないようなところを取り込んでいくということだと思うのですが、具体的にどういったところを考えていますでしょうか?
岡田:
例えば、子どもの英語教育です。僕らが今やっている大人の英語教育は、例えて言うなれば、病気になった大人を治療している感じなんです。でも本当は、病気になる前に子どもの頃にやりたい。子どもの頃にやるのがやっぱり本質的だとは思ってはいるけれど、僕らは全然ノウハウがないので、そういう領域はM&Aをしていきたいです。もう一つはtoBで人を育てる会社。今はtoCメインでやってきているので、toBも狙っていきたい。あとは、留学です。英語を学ぶ上でプログリットは良いんですけど、やはり留学でしか得られない経験はあるので、ベストだと僕は思ってて。そのベストオプションを、やっぱり我々としても持ちたい。
―今の日本ではスタートアップもグローバルを見据えていくべきだという論調もありますが、グローバル展開は考えられていますか?
岡田:
考えています。やはり英語教育熱は、中国や韓国にもありますし、東南アジアは人口も伸びてくるので、グローバル展開は考えています。特にAI英会話サービスはグローバル向けに作っています。
MBAは意味があるのか?
―MBAは意味が無いと言う方もいますが、岡田さん自身はMBAについてどう思いますか?
岡田:
僕自身はMBAに行っていないので分からないというのが本音ではあるんですけど、想像ベースで言うと、やはり英語ができるっていうのは強いですよね。特に海外MBAに行った場合は。あとは、世界に優秀な友達ができるのはすごくいいんだろうな、と思ってます。
結局、僕もマッキンゼーの友人、先輩、起業家友達に色々相談しているのですが、これがすごくいいんです。Facebookで簡単に「これどう思います?」とか、「このマーケットどんな感じですか?」とか。その友達が日本以外にもいるというのは、すごく強いんだろうな、と思います。もし2年間会社を留守にしてもいいよとなったら僕もMBAに行きたいですね。世界に友達が欲しいですね。
―その時は是非IESEにお越しください!(笑)
チーム作りにおいて重要なこと
―起業家にはチーム作りが重要だと思うのですが、取締役のメンバーはどういうことを意識されてチーム編成をしましたか?
岡田:
基本的には、相当優秀な人を固めるっていうことですね。結局、優秀な人がいることが重要だと思っていて。でも、本当は声をかけた方がいいのにかけない人って結構多いと思うんです。例えば、人事領域だったらこの人が最強だという人がいるのにも関わらず、その人に声をかけず、ちょっと仲の良い人事をやってる人に声をかけて仲間にする、みたいなことがよくあると思うんです。
でも、本当は絶対最強の人の方がいいと思うんですよ。なので、優秀な人に声をかけまくることが僕は重要だと思っています。皆、断られてもないのに、断られると思っている。僕はそのメンタルブロックを極力外すようには努力しています。友人の紹介で出会うことが多くて、飲みに行ったりする時に「あなたの友達で一番優秀な人を紹介してくれと」とお願いしています。その人が転職意欲があろうがなかろうが関係なくて、とりあえず会います。もしかしたらその人が3年後に入ってくれるかもしれないじゃないですか。ほとんど成就はしないですけど、種は蒔かないと。
-口説く時に意識されていることってありますか?
岡田:
僕はやはり、ミッションとか、我々が何を成し遂げたいのかを共感できることが大事だと思います。超優秀な方にとって、スタートアップに入るのは短期的には報酬が下がることになるんですよ。報酬では勝負できないので、余程共感してもらわないと巻き込めない。
―そのチーム作りの一環として、メンターの存在も非常に重要だと思います。岡田さんの場合、瀧本さんという素晴らしいメンターがいらっしゃったと思うんですけど、そういった方々をどの様に見つけていくのでしょうか?
岡田:
絶対無理だと思っている人に突撃してメンターになって頂くのが大事だと思います。勝手に諦めない。絶対無理ということはない。そういう人って、意外と声をかけられていないんですよね、怖がられて。(笑)声を掛けられると逆になんか嬉しいみたいな。
日本におけるスタートアップ起業環境
ー日本政府もスタートアップエコシステムを作ろうということで、去年スタートアップ育成計画5か年計画が始まったりしていますが、岡田さんはどういったものが必要だと考えていますでしょうか?
岡田:
やはり大谷翔平のようなスターがいた方がいいのかなとは思いますね。圧倒的なスターが出てきて皆が憧れる、ということは必要かなと思います。僕自身の経験で言うと、日本で起業をやりにくいと思ったことは一度も無いです。本当に起業し易いと思います。手続きも簡単だし資本金もほとんどいらないし、銀行もお金貸してくれますし、VCもありますし。土壌は整っていると思います。
かといって、起業する人が増えた方がいいかどうかは微妙なところです。政府の視点では日本のGDPをもっと上げないといけないので起業を推進するのはもっともだと思うのですが、個人の立場に立って考えると、起業で幸せになる人もいる反面、不幸になってしまう人もいるので一概には言えないかな、と。結局は個人の選択だと思います。リスクとリターンは見合っていると思っていて、起業してハイリスク・ハイリターンな生き方を選んでもいいし、起業せずにローリスク・ローリターンな生き方を選んでもいい。
AIが台頭することで英語教育はどの様に変わるのか
―日本人にとっての英語学習が重要なのは間違いないと思うのですが、特に最近のAIの台頭の中でもう英語学習が本当に必要なのかっていう人もいますが、その点に関してどう思われますか?
岡田:
そういう世界は来ると思います。というか、もうほぼ来てますよね。
僕としては今後も、英語を勉強したい人はするし、したくない人はしない、というのは変わらないんじゃないかと思います。結局今も、通訳はいるし翻訳ツールはあるけれども、英語を勉強する人はするし、しない人はしないじゃないですか。AIが出てきても同じ状況ではないかな、と。
ただ、海外MBAのように日本以外の国でやっていこうという人には英語はマストだろうと思います。
僕としては、はやりAIが使える場面はあるとは思うんですけど、そうでない場面も結構あると思っていて。例えば会話は、情報の伝達もあるんですけど、感情の伝達の要素も強いじゃないですか。自分の言葉で伝えたい、感情を乗せて伝えたいという人の思いは、AIが来ても変わらないと思うんです。
起業は途中で辞めなければ成功する
―最後に起業を目指す人向けに、メッセージを頂けますか?
岡田:
僕は社長になって良かったことがあって。社長って社長と仲良くなるんですよね。同じ肩書なので。マッキンゼーの頃の僕と社長になった僕って、何も変わってないじゃないですか。でも社長の名刺を持つと、マッキンゼーの頃は飲みに行けなかった人と飲みに行っていろんなお話を聞けるようになるんですよ。それはすごく良かったです。
上場したのも大きくて、上場社長になった瞬間に、昨日の僕と今日の僕は何も変わってないけれど、上場社長の方と仲良くさせていただく機会が増えました。
僕の感覚ですけど、起業は辞めなければ、ほぼみんな成功すると思います。起業してみて途中で辞める人も結構多いですけど。辞めるから失敗になる。辞めていない人で、例えば10年上場していない会社もありますけど、15年では上場しそうだなって思うんですよ。運の世界でもあるので、もしかしたら最初は上手くいかないかもしれない。でも、辞めなければほぼ成功するんじゃないかと思ってます。起業は、少しだとしても本当に自分の手で世界を変えられるし、リスクもある分リターンも大きい世界なので面白いと思います。昔に戻って何をしますか?と聞かれたら、僕は100%起業を選びます。
卒業生が5年以内に30%起業するIESEにおけるアントレ教育についてはこちらを参照ください!