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IESE Case Method(2/2) 対策編

*本ブログは学校の公式見解を述べるものではありません。また、IESEはdiversityを重んじる校風であり、IESE生内でも様々な感想や意見を持つ人がいます。あくまでもそんなIESE生の一個人の感想として読んでいただけたら幸いです。

こんにちは Class of 2023のHです。前編に続き、ケース対策編になります。

IESE Case Method(1/2) 概要編

■本テーマの構成

A) 概要編=授業の流れ・Tips

B) 対策編=ケース予習プロセス ←今回はこちら

■本題

今回は前回記事での授業の流れを踏まえて、ケース対策の仕方をプロセス別にまとめていきたいと思います。

1. Reading

2. Structuring

3. Analysis

4. Delivery

5. 全般Tips

1.Reading (所要時間:1時間)

ケースの読解です。「たかが読解かよ」、という話ですが、IESE提供のTechnical Noteや関連のArticleまで含めると、1ケースなんだかんだ1時間を要します。Termを重ねるにつれて、パターン認識の引き出しが増え、仮説の精度が上がってくるので、徐々にこのプロセスにかかる負担は落ちていきますが、これが毎日3ケースですのでやはり侮れません。ケース側も曲者で、当初はノイズにしか見えなかった1文が、10回20回と繰り返し読んでいくうちに重要な示唆が見えてくる、叙述トリックの効いた味わい深い“スルメ”ケースもあります。このへん、事務的課題処理的にあっさり読んでしまうか、じっくり読めるかは学業態度もさることながら読解の体力に関わるところが大きいと思います。GMAT RCで、「バクテリアの話なんて興味ないんだけど」と言わず、今のうちに速読力と精読力を養って下さい。洋書の多読でも良いです。少なくとも、読めないせいでExamの解答欄に「これこれこうだとすると」なんてAssumption(もといExcuse)を書かずに済みます。

2. Structuring (15分)

ケースにおける論点を洗い出し、一覧やツリーとして構造化します。慣れるとReadingと並行して完了できるようになります。自身の頭の整理としてはもちろん、チームメンバーにDeep-diveの結果を共有する上で重要なプロセスとなります。8人いるバックグラウンドが全く異なるメンバーが自由演技で議論し始めると発散だけで時間切れとなり、「Hよ、結局俺たちは明日どうすればいいんだ?」と言われるのがオチなので、何を議論すべきか(そしてしないのか)、予めまとめておき、チームと握っておくと捗ります。未読でしたらファシリテーション系の書籍の一読をおすすめします。

3. Analysis (2時間)

設定した論点をベースに定性・定量分析にとりかかります。分析を進めていく中で、理解も深まり、新たな論点が出てきたりしますので、論点設定まで戻ることを厭わず、コンバットします。ランチ後からExcelモデルの海に溺れ、なんの答えも出ないまま、外を見たら夜だった、なんてことは在学中に何度かあるはずです。本プロセスは平均2時間、Simulationなど分析が重ためのケースの場合はその数倍要します。“Heavy Case“のクジをご自身が引いた時は、「今日はこれしかしない!」と潔く認め、他のアサインメントはチームメンバーに早めに助けを乞います。日頃の行いが大事なのはMBAでも同じなようです。

4. Delivery (15分)

最後に、当日のParticipationに向けた準備です。クラスでの発言ではメッセージとして結晶化された水準が求められます。私も1学期にプラットフォームビジネスのネットワーク効果を説明するだけのために2分近くクラスの時間を浪費したことがあります。(※当コンセプトは3学期のCompetitive Strategy等で本格的に学びます。)日本の居酒屋ではろくろを回して説明できた些細なことさえ、バルセロナのBarに来るとBody Languageを駆使しても途端に伝わらくなります。「日本語だと言えるのに!」と情けない言い訳をする前に、何をどう伝えるかのDeliveryを侮らずに準備いただくのが肝要だと思います。授業前にDeliveryしたい内容をWordにしたためておくだけでも違います。

そもそも、何を話すかの選定として、ヤマを張るのが大事です。“意見の価値=「深さ」×「面白さ」、その面白さ=「新規性」×「有効性」である”といった整理もコンサル界隈ではあったりしますが、何がしか「自分しか言わなさそうなこと」や「発言することでクラスの検討が深まる」ことに絞っていきます。

例えば、外国人勢が一家言有しているLeadership分野や、彼らが得意とする定性分析では力負けしてしまう可能性が高いので、Financeや定量分析に焦点を当て、その中でも一番算出ロジックが複雑なところを選ぶ、といった想定をします。クラスのマジョリティが選ぶであろうポジションとはあえて逆を選ぶという考えも有用です。(※クラス天才勢の一角であった日本人クラスメイトから指南頂いた定石の一つです。) 外国人勢の就活ピークや中間テスト(※その夜にSection Dinnerが入りやすい)の翌日はクラスの発言頻度が減る、などのSeasonalityを織り込み、その日のケースは多めに予習しておく、なんてことも本質的ではありませんがテクとしてはあります。ウサギとカメではありませんが、スプリンタータイプの外国人に対してマラソン的な努力ができる日本人は周りのパフォーマンスが落ちてきた頃にこそギアを上げたいものです。

5. 全般Tips

以上までのプロセスで3時間前後/ケースでかかります。1日3ケースですので、チームワークやタイムマネジメントはもちろん、別アクティビティーとの兼ね合いなど、優先順位付けが鍛えられます。それまでの自身のParticipationの頻度や、Evaluationの重み付け (※In Class以外の評価項目で、主にはExamやReport)も加味して、そのケースを「捨てる」というのも大事な意思決定です。

「あれもこれも」と広げるとどれもが中途半端に終わるので、教授や天才たち相手でも負けないだけの深さ・一点集中のポジションを持ち、それ以外は捨てる勇気を持つことが大事だと思います。体感値ですが、それだけの検討をしたものが1ケースせいぜい3つもあれば十分です。5~10個あるうちは、ロングリストとして生煮え段階であることを疑って下さい。教授かクラスの誰かに粉砕されると思って頂いて相違ないです。

■終わりに

In Class ParticipationがMBAでのLearningの全てではありません。自分の発言に固執するより、クラスの意見に耳を傾け、多角的に問題を俯瞰する方が良いこともあります。事実、「小手先の点数稼ぎではなく、自分は人生の勉強をしに来ている」「自分の思い入れのあるテーマをみんながどう考えているか僕は聞きたい」と言って、深い知見を有するのにあえて沈黙を貫くクラスメイトもいました。

そのような学び方があることは踏まえつつ、IESEの醍醐味であるCase Methodを通じて将来皆様の学びが実り多いものになることを願っております。

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