IESEの特徴

IESEにおけるチームワークから学ぶリーダーシップ

Class of 2015の森永です。本日は、IESEの「チームワーク」の様子について、また自分がその場をいかに活用したかについて、ご紹介したいと思います。

IESEでは入学とともに各自7-8人単位のチームに割り振られます。1年間を通じて一緒にいる時間が最も長い仲間はこのチーム員です。異なる性別・国籍・バックグラウンド・性格タイプ(事前診断に基づく)が集まり、まさに動物園状態。毎日、授業の前にチームで集まり、ケースを議論・ブレストし授業に備えますが、日々議論は迷走、やってられるかと爆発するチームも沢山います。さらに、インターン獲得活動が天王山を迎える時期に、大学は大量のチームプロジェクトを課します。成績への配点が高いため手を抜くことができず、教授陣は上手くチームのメンタルを土俵際に持っていき、そこで生まれる化学反応をよく注視しています。

私のチームのプロファイルは、性別(男性5人・女性2人)、国籍(ドイツ・英国・スペイン・ポルトガル・トルコ・韓国・日本)、バックグランド(外資系大手コンサル・投資銀行監査担当会計士・投資銀行信用リスク担当・建築士・気球エンジニア・政府官僚・商社)。会社のような組織のレイヤーがある上司部下の関係は存在せず、常時フラットな関係、したがって基本言いたい放題です。オリエンテーションでは、いいですか、皆さん、意見を言うだけでなく、聞く姿勢を持ちましょうと、驚きのお達しが何度も出てきます。多様性たっぷり、カオスたっぷりです。

私はIESEを志望した理由は、上記のような、多様性から生まれるカオスを、強く意識して作り出し、その混沌さをどうマネージするか、リーダーシップとチームワークの開発と鍛錬に基軸を置いたIESEの教育方針にありました。21世紀のビジネスの主戦場は遅かれ早かれ新興諸国となるのは明白、そのような時代にどのようなリーダーとなるのか、自分なりに考え、日々チームワークの場で実践し、リーダーシップスタイルを確立する、これが私のIESE1年目の目標でした。1年目を終え、私が実践したことと、習得したものは以下3点です。

(1) チームの中で誰よりも努力すること

チームをリードするにはチーム員からの信頼が欠かせません。私は要領が良い、クレバー、Bar/Partyを活用するといった社交的なタイプでなく(そうありたいのですが)、大変不器用な亀さんタイプの人間です。そこで、私はチーム員からの信頼を得るために、自分が唯一できることは、チーム員の誰よりも努力すること、この一点でした。具体的には、誰よりも予習し、誰よりも深く考え知恵をチームに持ち込み、誰よりも挑戦(プレゼン等)して、誰よりも失敗する、泥まみれになること。睡眠2-3時間が続き、体重は7kg落ちましたが、毎日の小さな努力の積み重ねは、一歩一歩チーム員の信用を培うことに繋がり、自然とチームのマネージを託されるようになりました。自身が歩んだ過程を振り返ると、努力は裏切らない、国もバックグラウンドも関係ない、必ずやればやる分、自分に還ってくることが分かり、自信となりました。

(2) 誰よりもチームのことを考え動くこと

チームの多様性は前述の通りですが、チームワークで大変なのは夫々の個性がとても強烈なことです。私の国の未来は自分の背中にあるのだ、大学の研究室に戻れば僕は世界の権威だぜ、授業よりも就活婚活、よし他のチーム員に課題を押し付けてパーティーヤッピー!…唖然となりましたが、おそらく先方も私のことを珍獣と思っているでしょう。どうしたものかと考えあぐねていたところ、息子たちが見ていた子供番組で紹介された金子みすゞの詩、私と小鳥と鈴と、みんなちがって、みんないい、がヒントになりました。これをモットーに、個性溢れるチーム員の持ち味を活かすことにマインドを切り替えました。特に、チームの一体感を高めることに一番気を使いました。なぜIESEに来たのか、IESEで達成したいこと、プライオリティ(成績、就活、家族等)、自分が得意と思う分野、苦手な分野、伸ばしたい分野、直したい分野、嫌いな分野、チームに期待すること、好きな食べ物等を共有するシートを作り、チームランチ・ディナーでの酒のつまみにしました。お互いの理解力が高まった結果、各々の間合いが分かり、チームの結束力が早い段階から高まったと思います。チームの議論がヒートアップしケンカになりそうな時、君はここを直したい、こういう自分になりたいと言ったじゃないか、これは絶好の機会だろ、頑張ろうよとチーム員が制することもあれば、互いが互いのキャリアをコンサルし合う流れもできました。また、日々のチーム員との会話の積み重ねは極めて重要で、特に励ますことと、褒めることは意識して取り組みました。私は過去のキャリアでは、チームの一担当者として猪突猛進業務に専念するばかりでしたので、IESEのチームワークで試行錯誤した本経験は、チームマネジメントと多様性享受の感覚を養う大きな土台となりました。

(3) どのチームよりも、結果を自分のチームに持ち込むこと

チームプロジェクトの結果は、チーム員のモチベーションを大きく左右します。チームのモチベーションが下がると、チーム員全員の成績や人間関係、あらゆるパフォーマンスが悪化しかねません。したがって、チーム戦はとにかく勝つ!これを強く意識していました。とはいえ、大量のチームプロジェクトすべてに全力投球する余力と時間は無いことから、どこで勝ち(Aをとる、プレゼンで優勝する)、どこで失点を最小限に抑え(最小限の努力で平均点をとる)、どれだけ無手勝流の余地があるか熟考しました。優先度の設定、スケジューリング、チーム員のコミットメント取り付け、フォローアップ、最後はリードした以上責任をとる(謝ることしかできないのですが…)等駆けずり回り、すべての勝敗は覚えていませんが、主なチームプロジェクトでは殆ど優勝or準優勝に入ることができました。チームはもう解散しましたが、私が一番嬉しいのは、チームで集まるたびに、我々のチームがベストだ!を合言葉に当時のやり取りを振り返り、ジョークを言い合う、互いに学び合い、成長したよねと認め合う、そのような戦友ができたことです。もし、将来海外案件を担当する場合には、どんな国・バックグラウンドのメンバーであれ、IESEのチームワークで学んだ通り、誰よりも努力をし、チームのことを考え動き、結果を出す。このようなリーダーになりたいと思います。

以上、IESE学生生活のダイナミズムたるチームワークと其の体験についてご紹介致しました。チームワークのスタイルは多種多様で、私のケースは一例ですが、カオスぶりはどのチームも共通していると思います。ぜひこのカオスの中で、もがいてみませんか。

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