IESEの特徴

Ethicsの授業はMBAに必要ですか?

*本ブログは学校の公式見解を述べるものではありません。また、IESEはdiversityを重んじる校風であり、IESE生内でも様々な感想や意見を持つ人がいます。あくまでもそんなIESE生の一個人の感想として読んでいただけたら幸いです。

IESE Japan Business Club (JBC)も代替わりしまして、今回からClass of 2022のメンバー中心にブログを書いていくことになりました。どうぞよろしくお願い致します。

題名にもしていますが、今回のテーマは「Ethicsの授業ってMBAに要りますか?」

…これね、同級生内でも結構意見が割れるんですよ。

「いやだって、Ethicsって正しい答えないじゃないですか」派と「いやいや、今どきのリーダーにはEthics必要っしょ」派。

IESEは1年生が全員同じカリキュラムを学ぶ、つまり必修しかないのですが、そんな大事な必修の約3%を使ってBusiness Ethicsという授業があります。

教授によって扱うケースも違うし教え方も違う上、なんといってもクラスメイトが違えば意見も異なり、それぞれが体験する授業の中身は別物ですケース授業は生ものです。

さて、このEthicsの授業、正式名称はBusiness Ethicsです。

あくまでもBusiness場面でのEthicsを議論する場という位置づけなので、理想的な夢物語を展開ではなく、現実的な解決策や落としどころを提案することが求められます。

初寄稿ブログテーマとして持ってくるだけあって、私はこのBusiness Ethicsの授業がとても大事だと思っています。絶対に無くさないでほしい。そして、IESEという学校が “IESEが世に輩出するリーダーには必ず考えてほしい点だぞ!これを学んでこそIESEの生徒&卒業生だぞ!”と発信している一つの形なのではないかと思っています。

そもそも、もしあなたが「とはいえBusiness Ethicsなんて注意を払わなくても、普通に仕事やってればそんなヤバイことにはならないでしょ」と思っているのだったら、それは単にあなたが「これまでは」とても運が良かっただけかもしれませんよ。

私は新卒で入った会社が、1年も経たずに不正会計で連日ニュースをお騒がせするという体験をしました。

…なんでこうした出来事が起きたんだろう。誰が考えたっていつかはバレるありえない事が起きるんだろう。

呆れたように思う一方で、「私が社会人になってから取った決断は全て清廉潔白なのだろうか」と自問自答。。。

「上司はこういっているけど本当にこれでいいんだろうか」

「うちの部署の常識って本当に“常識”なんだろうか」

「その場の空気を読んでやり過ごしたけど、あの人の意見に同意すべきだったんじゃないか」

こういう問いが社会人生活の中で一度もなかった人なんてきっといないでしょう?

それに大体の場合、難しくて、面倒くさくて、際どくて、白くもないけど黒とも言い切れないような決断を迫られる時って、忙しくて、残業ばっかりで、眠れてなくて、職場以外の人と話す余裕もなくて、心身ともにキツイ時にやってくるもんだとも思うのです。

「まあさ、あの時は忙しかったしリソースも限られてたし、ああやるしかなかったよね」

「業界みんながやってるから、ウチだけじゃないでしょ」

「理想はまあ理想だよね」

そんな風に自分に言い訳して心のモヤっとしたものを押し込み、新しい大量の仕事に没頭して過去として葬り去る。そんなやり方に慣れちゃってきていませんか?

IESE のBusiness Ethicsの授業の中で印象に残っている考え方の中に「モデル」というものがあります。

これを、「日頃の発言を含めた言動が、将来の人物像ないし会社像を作り上げるのだ」という考え方であると私は解釈しています。

例えば授業で出てきたケースの中にあった内容ですが、「セクハラしてはいけない」という会社のルールを掲げていたとして、No.1キープレイヤーが、補佐についた社員にセクハラしているのを知りながら、No.1プレイヤーの能力とその人がもたらす利益惜しさに見て見ぬふりをする。

これは「セクハラしても利益を持ってくるなら見逃します」とか「利益さえ上げればあとは目をつぶります」とか「書いてあるルール(建前)と実情(本音)は別です」という会社を作り上げていっているということに他なりません。

だから私たちは常日頃から自分はどういう人間になりたくて、どんな会社や社会を作り上げているのか?を自問自答する必要があるのだと思います。

ちなみにこのセクハラのケースを取り扱った際は、前日からクラスの女性達は「明日はいよいよセクハラについてのディスカッションよ!」とWhatsAppでリマインドが入り、クラスの女性のほぼ全員がかつてないほど発言していました。

Business Ethicsを身に着けて得られることは非常に知覚しにくいのかもしれませんが、Business Ethicsを持たなければ失うことって想像以上に大きいのだと思います。

IESEは「勉強が忙しい学校」とも言われています。(本当に忙しいかどうかは個人の意志と能力次第だと思います。)

忙しい時、キツイ時ほど自分の本性が嫌ってほど出てきます。せっかくだから「厳しい状況でも正しい判断をする練習」として思いっきり自分を追い込んでみるのもいいかもしれません。

どうせ偉くなったら「忙しい中で難しい判断をする」っていうのが仕事になるんですから、学生の身分で練習して、自分の思考の癖を知っておいて損はないと思いますよ。

自分がキツい時にEthicalな行動が出来ていますか?ストレス発散と称してセクハラ・パワハラ・差別・いじめ・暴力的な行動をとっていませんか?

IESEがBusiness Ethicsを必修としている理由は、「Business Ethicsを考慮して決断する人や世界を育てていくため」だと私は思っています。

仕事に限らず、自分がどういう人間になりたいか、は日々の小さな自分の行動と決断の積み重ねによって決まっていくんでしょう。このことを再認識しただけでも、毎日の行動を振り返り反省(いい点も悪い点も)することが増えました。人生のこの時点でEthicsの重要性を再認識出来て良かったです。

Business Ethicsの授業とってもおすすめです!

関連記事

Coffee Chat

最近の記事
おすすめ記事
  1. 文化をつなぐ翻訳の力!-日本とスペイン語圏の架け橋、日本漫画翻訳者マーク・ベルナベさん

  2. 寄り添うメンタルヘルステックでココロ踊る社会に―Booost Health 創業者・CEO 芳賀さん

  3. シンガポールと日本を繋いで社会課題に挑む!-SWAT Mobility Japan 株式会社 代表取締役 末廣将志さん

  1. 南アフリカでのインターンシップ

  2. Barcelona 実際来てどうだったか?

  3. 女性のバルセロナでのMBA留学Q&A

TOP