交換留学

IESEとコーネルの比較:交換留学体験記(Cornell Johnson School)

Class of 2024のKです。2023年の8月から12月にかけて、アメリカのコーネル大学に交換留学生としてお伺いし、IESEとの比較の観点で感じたことを纏めさせて頂きました。今後IESE在学中に交換留学を検討していている方に少しでもご参考になれば幸いです。

結論から言うと、IESEもコーネル大学も非常に良い学校でありました。授業のスタンスや学生の特徴、就職活動の在り方などで感じた差を一つ一つ紐解いていければと思います。

1. 授業について

1.1 授業の進め方 – Case vs Lecture

IESEの授業はほぼ全てがCaseで進められます。一方で、コーネルでの授業の大半がLecture形式でありました。コーネルではMBA 2年目ということもあり、テクニカルな授業を中心に履修したことが結果としてLecture形式中心の授業となってしまったかもしれませんが、当初は大きな違いを感じました。

学生が課題に対してそれぞれの立場を持った上で議論を行い結論にたどり着いていくCase形式と対照的に、Lecture形式は教授が結論まで説明をしていくイメージです。IESEと比較して、授業中に学生間の議論はあまり無く、コーネルでの授業は一般的な日本の大学での講義形式に似ていました。

1.2. 教授の質

IESEとコーネルの教授は共に素晴らしいと思いますが、コーネル教授陣は教授歴が長くベテランが多い印象でした。例えば、約20年間コーネルMBAでデータアナリティクスを活用したマーケティングを教えている教授の授業を履修したのですが、彼の説明や資料の一つ一つに無駄がなく洗練された授業で本当に分かりやすく、とても実用性のある知識を得ることができました。

また、当たり前なのですがコーネルはアメリカの大学なので、アメリカ人の教授が多いです。IESEの教授陣は非英語圏を含む各国から来ているので、英語に多少の訛りがある教授も多く在籍しております。アメリカ英語を学ばれてきた人であれば、やはりアメリカ英語で進められる授業の方が聞きやすいかもしれません。

1.3. 授業の雰囲気

IESEの方が圧倒的に授業のルールは厳しいです。IESEは、毎回の授業の出席を厳しくチェックされます。一人一人の出席確認をするためだけに授業の冒頭に職員の方が教室に来ます。20%以上の欠席で単位を落とすことになります。

一方でコーネルの出席は、出席確認をそもそも取らない授業も存在していました。また、出席を取る授業でも、欠席回数が成績に大きく影響を及ぼすような評価基準ではありませんでした。さらに、IESEでは禁止されている授業中の飲食もコーネルでは可能でした。朝食や昼食を食べながらLectureを聴講する生徒も多く、想像していたアメリカの学校のイメージ通りでした。

また、IESEと異なりコーネルは総合大学であるため多くのMBA以外の修士生や学部生もMBAの授業を履修しています。私はある授業のグループワークのチームメンバーがそれぞれ異なる専門を学んでいる修士生であり、新しい視点を知ることができる非常に貴重な経験でした。また、他の授業では、グループメンバー全員が学部を卒業したばかりの修士生であり、10歳ほど年齢の差が離れたメンバー達と一緒にワークを行う経験は非常に新鮮で、彼らからも沢山の事を学ばせてもらいました。

1.4. 成績

成績はIESEの方が厳しく採点されます。前述の通りIESEはCase形式なので、授業への参加”Participation”が占める成績のweightは大きいです。価値ある発言ができなかった場合、成績が簡単に低くなってしまいます。また、テストも厳格に相対評価を適用して成績判定を行っている印象でした。

一方で、コーネルの成績はIESEと比較して少々甘目に採点してくれる印象を受けました。私が履修した授業は全て中間・期末試験が無く、提出物さえしっかり出していれば高い成績を付与していただける印象でした。IESEとは対照的に、多くの授業でParticipationは成績判定上で重要視されていない印象です。

2. 学生について

2.1. 連帯感

IESEの方が横の連帯感は強いと思いました。IESEはセクション内外で皆さん仲良く盛んに交流をしています。IESEの学生は、マルチカルチ等の大きなイベントで大学生の頃に戻ったように全力で準備に取り掛かります。また、日常でもIESEは毎週様々なイベントやディナー、また仲の良い友人と食事やクラブ、週末旅行などを楽しんでいる方が多いです。

一方で、コーネルの立地がカナダに近い自然豊かな地方の街で娯楽がバルセロナと比べて少なかったということもあり、IESEの学生ほど日常的に何かしらのディナーやパーティをしている印象は無かったです。また、私はコーネルではIESEのマルチカルチの様な大きなMBA主体のイベントを経験することは無かったので、その点では比較はできません。

2.2. ダイバーシティ

IESEとコーネルの最も大きな違いはやはり学生のダイバーシティにあると思います。コーネル限らずアメリカのMBA生の大多数はアメリカ人です。一方でIESEでは85%の学生が多国籍であり(2023年現在)、国際的な環境です。

異なる視点でのダイバーシティですが、コーネル大学の様な総合大学は前述の通りMBA以外の修士生や学部生がMBAの授業を履修している事が多いので、専門や年齢を超えた新たな交流があると思います。

3. 就職活動について

私はアメリカで現地就職の機会を求めて就職活動をしました。個人的にネットワーキングを行ったり、ボストンキャリアフォーラムに参加したりしました。結論から言うと、ある程度以前から想定していたことですがOPT(Optional Practical Training)が無いとアメリカでの現地就職は難しいです。学生にOPTが無くても、企業が就労ビザ(H-1ビザ)を申請することは可能ですが、H-1ビザの枠数が限定的でアメリカでの就労経験が無い学生のビザを取得できる可能性は低いということで、OPTが無くても募集できる企業は殆どありませんでした。

一方で、アメリカの給与水準は日本や欧州と比べて頭一つ分くらい抜けている印象でした。例えば、BIG4の在米Japan Deskの採用は、基本的に新卒ポジションでありながら1年目が基本給8-9万ドル(1ドル=145円で1,160万円~1,300万円程)の初任給で、2-3年後には1.8倍に昇給するとのことでした。NY等の大都市の物価水準は異常に高いことを差し引いても、給与水準だけを見れば魅力的だと思います。私がアメリカで出会った多くの日本人MBA生は、アメリカの給与水準が魅力的であるため現地就職を目指しておりました。卒業後に日本に帰国する方も多い欧州MBA生との違いを感じました。

本稿では、IESEとコーネルの違いを授業、学生、就活の観点で比較してみました。いずれの学校もそれぞれの特色があり素晴らしいことに違いないです。交換留学を検討される際にはご参考になれば幸いです。

長文となりましたが、ご精読いただきありがとうございました。

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