IESEには世界各国の提携校から交換留学生が秋ターム(9月~12月)、冬ターム(1月~4月)それぞれ数十人やってきます。今回は、2024/9~12まで、中国 上海 CEIBS(中欧国際工商学院)から来た日本人留学生のYさんに、CEIBS生から見たIESEについてインタビューしました。
プロフィール
現在、中国・上海にあるCEIBS(中欧国際工商学院)のMBAプログラムに在籍しており、交換留学先としてIESEを選択しました。MBA以前は、コンサルティングファームやプライベート・エクイティ(PE)ファンド、中小企業の経営に携わる仕事をしていました。
Q. まず、CEIBSについて教えてください。
CEIBSは、1994年に中国政府と欧州連合(EU)の協力により設立されたビジネススクールです。Undergraduateプログラムは設置されていないため、中国国外での知名度はあまり高くありませんが、アジアのMBAランキングでは長年1位を獲得し続けており、それなりに実績のある学校です。MBAプログラムは約18か月の期間で構成されており、後半の1タームを交換留学プログラムに充てることができます。
Q. IESEでは、どのような授業や課外活動をされましたか?
授業では、特に履修したかったスポーツマネジメントとサーチファンドに関する科目を優先的に選びました。それ以外では、スケジュールに余裕がある範囲で興味深そうな授業を受講し、具体的な授業名を挙げるとOmni Channel Retail Management / Management Control / Design Thinking / Sales Managementを選択しました。課外活動では、近隣にあるESADEが提供するスポーツビジネス領域特化の短期エグゼクティブトレーニングに参加しました。また、自身のキャリアに関連する分野のネットワーキングにも積極的に取り組みました。
Q. 授業スタイルは、IESEとCEIBSでどう違うと感じましたか?
CEIBSは設立時にIESEが協力していた経緯があり、ケーススタディを中心とした授業形式を採用しており、その点では両校の授業スタイルは似ているなと感じました。ただし、CEIBSではケーススタディの割合が体感で6割程度なのに対し、IESEでは9割近くに達していると感じました。また、授業への参加度にも違いを感じました。IESEではParticipation Pointが重視されているため学生の発言回数が非常に多い傾向があり、授業に活気があり、また他の学生の多様な考えを聞けるのは興味深く感じました。
ただし、量を重視するあまり内容が浅くなる発言が見られる場合があったり、Facilitationが上手くない教授の授業は議論の論点が散漫になったり表面的な議論で終わってしまう場合もあったりしました。(CEIBSでは、そもそも発言の総量が少なかったり、レクチャー形式でやや退屈してしまうことがあったりするので、一長一短かとは思いますが)
Q. 学生のプロファイルの違いはどう感じましたか?
IESEで改めて感じたのは、国籍面でのDiversityの豊かさです。学校情報にも記載されていますが、学生の国籍の数は非常に多いため、さまざまな文化的背景を持つ学生と交流することができました。対照的にCEIBSでは中国籍の学生が過半を占めるため、国籍的、また文化的な多様性は限定的です。一方で、交換留学という短期の交流で感じた限りでは、IESEの学生の方がCEIBSに比べて出身業界や志望業界に多様性が少なく、その点ではビジネスという観点で様々なバックグラウンドの人間と交流しキャリアのインスピレーションを得るメリットは、CEIBSの方が大きいと感じました。(CEIBSは出身業界や卒業後の志望分野は幅広く、また中国国内の富裕層や地方から苦労して成功を収めた学生など、国籍以外の観点で多様性が感じられます。)
Q. バルセロナ生活とCEIBSの上海での生活との違いは何ですか?
シンプルに比較すると、バルセロナは観光地としての魅力や気候の快適度が高い一方で、中長期で生活するには上海の方が満足度は高いなと感じました。バルセロナは観光地やグルメが豊富で楽しめる一方、アジアと比べてサービスや商品のコストパフォーマンスが悪く、治安や衛生面でも不安不満を感じることがありました。上海では物価が日本とあまり変わらないかやや安いくらいで、ライドシェアやデリバリーなどのサービスが充実していることに加え、交通インフラや治安の安定性も高く、日本人向けのサービスも受けられるため、非常に快適に生活できます。
Q. IESEやバルセロナならではのメリット・デメリットは何ですか?
バルセロナの利点として、欧州他国へのアクセスの良さが挙げられます。観光の利便性はもちろんのこと、欧州でのキャリアを考える際には各国の企業や関係者と直接会いやすい点が大きな魅力だと感じました。IESEについては、世界中に友人をつくる機会があることや、インテンシブなカリキュラムで純粋に能力を鍛えられることがメリットと感じました。
デメリットとしては、上記で挙げた長期的な生活面の不安不満に加え、スペインというマーケットが規模的に小さく、日本から遠い点を感じました。例えば、アメリカは規模が大きく日本との繋がりが密接なのは明らかで、また中国も同様の要素があります。こういった国々でMBA生活を過ごすことで、卒業後も活きる現地ネットワーク構築や語学・商習慣の理解が進むことは、大きなメリットと感じます。スペインというマーケットではそれが得られないため、その点は他の大国のMBAであれば得られるであろうメリットの一部が、スペインのMBAでは得づらいということがありそうです。(最初からスペインやスペイン語圏を明確に狙っている場合はもちろん当てはまりませんが)
Q. CEIBSや上海と比較して改善の余地がある点は?
既にIESEはグローバルでもトップレベルのMBAと感じますが、敢えてCEIBSとの対比を基にさらなる改善の余地を考えるとすれば、上述のような、ケーススタディにおける議論の”質”をさらに上げること、そして学生の国籍以外でのDiversityを向上させることがあるかなと思います。
Q. その他に言及しておきたい点は?
この点はたまたま交流したClass of 25, 26の皆様だったから該当するのか分かりませんが、日本人学生の皆さんは魅力的な人ばかりでした。皆さん気さくに交流してくださり、交換留学生にも気配りいただき、真面目な議論や学生ならではの馬鹿な話もできたりと、非常に魅力的な人ばかりでした!
インタビュアー
Class of 2025:尾島
関連記事