キャリア

ケースコンペティション (2)

インターナショナルラウンド前

学内選考からインターナショナルラウンドまでは約1週間。その間になんと学校がコミュニケーションの専門家を雇って、私たち4人の為にプレゼンテーションのレッスンをしてくれることに。一日1時間みっちりと練習&フィードバックを繰り返し、自分のプレゼンの特徴や修正を行いました。プレゼン中の視線のもっていき方、話し方、意識の置き方などを個別指導で教えてもらい、非常に勉強になりました。

インターナショナルラウンド

① オープニングセレモニー

いよいよインターナショナルランド。Roland Bergerケースコンペティションのインターナショナルラウンドは毎年IESEがホストをつとめ、バルセロナで開催されます。Roland Bergerからは10数人ものスタッフがインターナショナルラウンドに参加し、運営として会を取り仕切ってくれます。我々の年の参加校はChicago Booth, Tuck, Yale, LBS, INSEAD, HKUST, CEIBSと欧州、米州、アジアのTop校が参加しました。各校選抜を勝ち抜いた4人チーム、合計32人の参加者です。

インターナショナルラウンドは中間テストが終ったまさにその午後から始まるという、(IESEが学校をあげてホストしてくれているとは思えない)過酷な日程設定。M気が強い生徒が多いIESEの我々といえでも、疲労困憊で眠気を我慢しながらオープニングセレモニーに参加。それでも、IESE以外の生徒の高揚感に満ちた表情を見ていると、よしやるぞとこちらも気合いが入ります。机の上には、色々なRoland Bergerからの粗品のお土産や各参加者のプロフィールブックなどが配られています。粗品もさすが外資系コンサル、粗ではない豪華な品が並んでいました。

セレモニーではIESE校長の挨拶、インターナショナルラウンドの概要発表、各校参加者の自己紹介の後、いよいよケースの発表に。ケースは「LVMHグループのワイン事業部がどのように業績を伸ばすか」という2004年の実際のビジネスシチュエーションを基にしたケースが配られました。執筆者の教授によるケースの概要と狙いが解説されたあと、「実際にケースに登場する当時のCEOがプレゼン当日に審査員を努める事」が発表され、会場は高揚感に満ちあふれた雰囲気に。プレゼンテーションは2日後、いよいよケースコンペがスタートです。

② チームワーク

各チームにはチームワーク用の部屋が用意されます。またサンドウィッチやジュースなどの軽食は別室に常に用意されており、自由なタイミングで取りに行けます。大食いのJ君は「これがケースコンペティションに参加して一番良かったこと」だと今でも言っています。途中でM君が結婚式の準備の為、抜けていきましたが、2度目のチームワークであり、前回よりもかなりスムーズに話し合いは進行しました。

また2日目のチームワークの時間にはワインマーケットの専門家に各チーム一時間質疑応答をする時間や、Roland Bergerのコンサルタントに現状のプレゼンの状況を説明しアドバイスを貰える時間など設定されています。それらの時間を有効に活用しながら2日間でプレゼンを作ります。しかし、設定された時間ではどうしてもプレゼンを作る時間は足りません。幸い参加者はインターナショナルラウンドの期間中ホテルが提供されているので、私たちのチームは夜中もホテルの一室に集合しながら、プレゼンを作って行きました。中間テストあけで眠たい中にも関わらず、プレゼン作成に追われて寝ることができない過酷な時間でしたが、高校時代のサッカー部の合宿がオーバラップし、「ビジネススクールにきてこんな青春のひとこまのような合宿の経験ができるとは」と少し嬉しくなりました。

③ ランチ、ディナーの時間

ランチやディナーは全チーム一斉に振る舞われます。席は意図的に各校がバラバラになるように設定されており、自然と各校の参加者と交流を図る事ができました。他校の参加者とはお互いのカリキュラムの長所・短所の話で盛り上がりました。IESEの「一日3ケース、月曜日から金曜日まで授業」というハードなカリキュラムは有名のようで、各校の参加者から多くの質問がありました。将来のキャリアプランを話したり、各地の観光名所を紹介し合ったり、他校の人たちと交流できたことは本当にいい経験になりました。今でも数人の参加者とはFacebookなどで連絡を取り合っています。

またディナーのレストランは凄く豪華でした。丁度バルセロナではカルソッツという有名料理が食べられる時期だったので、カルソッツレストランに連れて行ってもらい、素手で食べるネギに各校の参加者もビックリしながらも舌鼓を打っていました。

④ プレゼンテーション

プレゼンテーションは1チーム10分、質疑応答10分で行われます。審査員はRoland Bergerのパートナー2名とケースの主役のLVMHの前CEOそしてワインアナリストの4人と豪華な審査委員です。プレゼンテーション当日にようやく結婚式を終えたM君も合流しました。

プレゼン後の質疑応答では凄く厳しい質問が飛んできたり、「君たちの提案はLVMHグループのこういう考えを反映していない」と厳しく指摘されたり、それに反論したりと普段はなかなか接点がもてないような人たちと対等な目線で議論ができました。こんな経験もケースコンペティションに参加していなければできなかったはず。他校のプレゼンテーションを見る機会もあり、とんでもなく見やすいテンプレートを作っている学校や、プレゼンのやり方も各校特色があり非常に興味深く、今後の自分のネタにできそうな技術などもありました。プレゼンテーションの結果はファイナルセレモニーの場で発表される為、各校どきどきしたまま、ファイナルセレモニーの会場に向かいます。しかし、ファイナルセレモニーの場所は秘密。バスに乗る様にだけ指示をされます。

⑤ ファイナルセレモニー

バスに乗ること一時間、のどかな田園風景と共に表れたのは一つのレストランが併設されたワイナリー。ケースのテーマがワインだったので、その場をセレモニー会場に選んでくれたとのこと。さすが外資系、やることがオシャレです。ワイナリーのオーナーからワインの製造行程の紹介頂き、プールサイドにて結果発表。優勝はChicago Boothでした。Chicago Boothのプレゼンは具体的な実行計画にまでプランが落とし込まれており、そこが審査員から大きな評価を得ていました。各校10分ずつ詳細なフィードバックが審査員からあります。私たちは「メッセージがクリアでなかった」とのフィードバックを貰いました。M君が遅れて合流した後に、時間がない中でM君の意見も急遽取り入れた総花的なプレゼンに変更してしまったのです。そこでしっかりと議論したり、前日までに途中経過を共有したりという努力を怠ってしまったのが大きな敗因の一つでした。優勝チームはRoland Bergerの本社があるミュンヘンに招待され一週間程度のインターンが準備されるとのことでした。こうした就職に直結する可能性があることもケースコンペティションの大きな魅力の一つです。その後、併設されたレストランで利きワインコンテストやパエリアが振る舞われコンペ終了となりました。その後はホテルに戻り、朝まで各校の参加者と交流を深めました。

最後に

ケースコンペティションには色んなステージを通して、各種の学びがあります。バックグランドが違ったり、価値観や優先順位づけが違ったりするメンバーを鼓舞しながら一つのチームを纏める事は、日本にいた頃には経験できなかった難しさがありました。ただし、その苦労に報いるだけの学びがあるし、自分の殻を破る大きなきっかになったような気がします。是非IESEに入学し、ケースコンペティションに参加してみませんか?

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