アントレプレナーシップ

1. アントレプレナーシップ教育

1) IESEにおけるアントレプレナーシップ

IESEは、世界でソーシャルインパクトを与える事が出来るリーダーの育成を目指しており、アントレプレナーシップ教育を最重要なものとして位置付けています。

授業では、1年生の必修科目にアントレプレナーシップ、リーダーシップが入っており、2年生のプログラムでは、サマーアントレプレナーシッププログラム(後述)、Independent Study Project 等、経験豊富な教授が伴走者として、起業志望の学生のサポートする実践的な授業も数多く揃っています。

ただ優秀なだけでなく、起業家精神旺盛な学生が数多くおり、在学中に起業する同級生も珍しくありません 。(中には在学中に米国NASDAQに上場を果たした学生起業家も)  卒業生を見ても、卒業後、5年以内に起業を選択する人は30%以上おり、IESEのアントレプレナーシップへの注力具合が良く分かる数字となっています。

 

2) 学内ベンチャーキャピタルFINAVES

IESEはベンチャーキャピタルであるFINAVES をもっている数少ないビジネススクールで、IESE卒業生は生涯に渡り学内ベンチャーキャピタルの支援を受けることが出来ます。また、世界的に急増中のサーチファンド(後述)の研究機関を有しており、IESE自体、アントレプレナーシップ教育に強くコミットしています。

 

3) サマーアントレプレナーシッププログラム

サマーアントレプレナーシッププログラムは、6月上旬から7月末にかけて、学生2~4人のチームが、各々のビジネスアイディアを実際のビジネスとして成立させることを目指して、教授らの指導を受けながらビジネスモデル等を練っていく実践的なプログラムです。通常の授業とは異なり、“何かを教わる”という姿勢は許されず、“何かを知るために自分で動く”ことが求められるプログラムです。

このプログラムには、毎週1回の各プロジェクトの進捗報告セッションと、毎週1回のゲストスピーカーセッションとがあります。

a) 進捗報告セッション

事前に指定された課題(例:潜在的な顧客や利害関係者へのインタビューなど)への取り組み状況や今後のアクションプラン等を報告し、教授や他の学生からフィードバックを受け、ビジネスアイディアを更に一層練り上げます。困難も多く、スムーズに進むことはありませんが、その苦労・苦悩を経験することこそが、プログラムの醍醐味ともいえます。また、他のチームから斬新なビジネスアイディアのプロジェクトに関する話を聴き、互いに刺激を受け、切磋琢磨できます。

b) ゲストスピーカーセッション

現役の起業家から、過去・現在の苦労話やそれらをどのように打開したかなどの、刺激的で示唆に富む話を聴くことができます。これらの話は、このプログラムに参加する学生にモチベーションを与えるだけでなく、その話から得られた知識・経験がサマーアントレプレナーシッププログラムで取り組んでいるプロジェクトに活きてくる場面もあります。

このように出席が必要なセッションは週2回のみですが、ビジネスアイディアを実際のビジネスとして成立させるうえで必要な数々の課題を、自分たちで考え、トライし、失敗し、また練り直し…というプロセスを経て、初めて起業を行う学生にとって、起業家としての経験やマインドセットが身につくプログラムです。

2. サーチファンド

1)サーチファンドとは?

1984年に米国スタンフォード大学で生まれた事業投資の一形態で、経営者を目指す個人(経営未経験者)が、投資家からの支援を受けて、中小企業のM&Aを行い、自らが社長として経営に携わる活動のことを指します。

日本では馴染みが余りないスキームですが、近年、サーチファンドの設立数は世界中で加速しており、MBA生を中心に、卒業後の人気のキャリアとなっています。

北米ではスタンフォード、欧州ではIESEで特に盛んであり、両校は多数のサーチャー(サーチファンドに挑戦する人)を世界に輩出すると共に、専門の研究機関を学内に持つなど、世界2大サーチファンドスクールとして、世界のサーチファンド業界をリードしています。

2)サーチファンドの魅力

MBA生の内、将来的にCEO、経営幹部に就きたいと考える人は数多くいらっしゃいますが、特に大企業のCEO、幹部になるまでは、国内外問わず、最低でも10年程度の下積みを経るケースは少なくありません。

一方、サーチファンドは、経営する企業規模は小さくなるものの、MBA卒業後すぐに、組織トップとして企業を運営する経験を積むことが出来、経営者キャリアパスを最速で歩むことが出来るため、数多くのMBA生が卒業直後にサーチファンドに挑戦しています。

また、一般的に、アントレプレナーシップと言うと、スタートアップの「ゼロイチ起業」が連想されることが多いですが、ビジネススクールでは、既存事業を対象にするサーチファンドも、「イチジュウ起業」として立派なアントレプレナーシップの1つとして位置付けています。スティーブ・ジョブズ氏、孫正義氏の様な天才的な閃きやアイディアが無くても、経営者として既存事業のバリューアップにコミットして、巨額の財務リターンも狙えるのもサーチファンドの魅力です。

 

3)IESEが提供出来るリソース

上述の通り、IESEはスタンフォードと並んで、世界二大サーチファンドスクールに位置付けられています。

教授陣には、サーチファンドの世界的権威であるJan Simon氏がおり、同教授のサーチファンドの授業は、学生が選ぶIESE No.1授業に何度も選出されています。

また、IESEは、学内にサーチファンド専門の研究機関が有し、スタンフォード大学と共同で世界中のサーチファンド動向を研究しています。 (北米はスタンフォード大学、残りの全地域はIESEが管轄) そして、全世界のサーチファンド関係者が一同に集う国際サーチファンドカンファレンスを2校で毎年開催しており、2022年はIESEのバルセロナキャンパスで開催しました。(2023年はスタンフォードで開催予定)

IESEはこれまで数多くのサーチャー、サーチ投資家を世界中に輩出し、サーチファンドスクールとしての位置を確立しているため、卒業後にサーチファンドを行う場合、世界のサーチファンドコミュニティから支援を受けやすい素晴らしい環境にあります。

その他にもベンチャーキャピタル側からみたコンペとレクチャーが一体になった授業 VCICなど、起業家に役立つ授業が多数あります。

4)サーチファンド業界で活躍するアラムナイ

IESEには、サーチファンド起業を志す上で理想的な環境が存在するため、近年では、サーチファンドの中心地である米国、欧州地域以外でも広がりを見せています。

例えば、日本では、IESEご出身の黒澤さんが、日本初のサーチファンドを立ち上げ、2021年末に、教育関連会社の事業承継を行い、現在は代表取締役社長として同社の経営を行っています。こうした黒澤さんの取り組みは、2023年5月に東テレの人気番組である「ガイアの夜明け」でも特集され、日本でもサーチファンドが注目され始めています。

日本以外でも、南アフリカ、インドネシア、中国において、同国初のサーチファンド立ち上げに挑戦しているサーチャーがおり、いずれのサーチャーは、IESE現役生、もしくは卒業生です。この様にIESEは、世界中でサーチファンド人材を輩出しており、この流れは今後も加速化していくのは間違いありません。

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