サーチファンドとは?
「サーチファンド」という言葉をご存じだろうか?「サーチファンド」とは、1984年に米国スタンフォード大学で生まれた事業投資の一形態で、経営者を目指す個人(経営未経験者)が、投資家から資金調達を行いながら、中小企業のM&Aを行い、自らが社長としてその企業の経営に携わる活動のことを指す。
*サーチファンドの流れ(出典:IESE Search Fund Club作成)
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世界で急増中のサーチファンド
本仕組みを利用することで、若い内から、ファンドレイズ・事業投資・企業経営の経験を一通り積めることから、2010年以降、MBA生を中心に、卒業後の人気のキャリアとなっている。サーチファンドは、米国で生まれたこともあり、設立件数自体は、現状、米国が1番多いが、近年はヨーロッパ、中南米において設立が相次いでおり、世界では既に700を超えるサーチファンドが設立されている。
*年間設立件数推移(グラフ右側Internationalは、北米を除いた全地域)
*国別設立件数(トラディッショナル型ベース) (出典:International Search Funds–2022 by IESE)
サーチファンド起業を支えるエコシステム
MBAを卒業したばかりの経営未経験者に社長を任せるこのスキームは、一見無茶に見えるかもしれない。しかし、サーチファンドのリターン(IRR)は、平均30%を誇り、通常のVC(ベンチャーキャピタル)、PE(プライベートエクイティ)と比較しても遜色のないリターンを挙げている。結果、北米、欧州では、サーチファンド専門の機関投資家(Fund of Search Fund)、エンジェル投資家が増え続けており、サーチ起業に挑戦する学生を支えるエコシステムが出来上がっている。また、アメリカやヨーロッパでは、サーチ起業家、投資家が一同に集うサーチファンドカンファレンスが定期的に開催されており、国境を越えるグローバルな連携が図られ、一大コミュニティを形成している。
IESEは、スタンフォード大学と共に、世界のサーチファンド関係者が集まる”International Search Fund Conference”を共同開催しており、2022年10月にもバルセロナキャンパスにて、第5回目となる国際カンファレンスを開催した。
*5th International Search Fund Conferece(IESEキャンパスで開催)
日本におけるサーチファンドの可能性
現在、日本では、少子高齢化に伴う「事業承継問題」が大きな社会課題として存在しているが、欧米発のサーチファンドが、日本における第三者事業承継を一般化させ、同課題の解決に寄与し得るとして、大きな注目を集めている。そこで、IESEサーチファンドクラブでは、「サーチファンドの未来~30代CEOへの道~」というテーマで、日本を代表する有識者に対面でインタビューを行い、今後の日本におけるサーチファンドの可能性を特集することにした。
インタビュー内容は、サーチファンドに留まらず、「日本の中小企業の課題」、「経営者育成」にまで話が及んでおり、これから経営者を目指す若手・中堅層にとって必読の内容となっている。有識者インタビュー第1弾は、経営共創基盤(IGPIグループ)会長の冨山 和彦氏をお招きし、日本における「サーチファンドの未来」に迫っていく。
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